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彼な私
【少年/少女 恋愛小説】

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彼な私-5

次の日は土曜日なので学校は休み。私は家の近くにある川へ来ていた。ここは下流なので川幅が大きく、両サイドの土手はきれいに整備されてところどころベンチが置いてある。私はそのベンチに座って左手に光る指輪を眺めていた。
―…告白しちゃおっかな…やんっ…私ったら調子にのりすぎよっ
「あれ?タケ子君?」
ドキッー
心臓を打ち抜くこの声は…
―う、宇宙人杏!!
「タケ子君の家っちこの辺なん?」
杏、そう言いながら私の隣に腰を下ろした。
「そっそう…す、すぐそこ」
私、適当に指を指す。
「そうなん?私の家もばいすぐそこっちゃ、近かかったんやねー」
杏、はしゃぎながら私との距離を縮める。
「そ、そうね〜…」
私、気づかれないよう杏との距離を少し開けた。
―だ、だいたいなんなのその格好は!!
杏はミニのスカートに下着のようなキャミを重ね着している。
「ちょっちょっ、ちょっと、肌出し過ぎじゃない?」
「えー?そう?でも若いうちしか出せんしさ」
「いっい、い、いや、だだ、だめよ、お、女の子なんだからぁー…そ、それにどうするの?まだ5月よっなつ、夏になったら何着るのよ?は、裸になるつもり?」
「やーだータケ子君、裸になるわけないやん、それに、じゃん、上着もってま〜す」
―なっ!!、そういうことじゃないでしょ!!何がじゃんよ何が!!
「ちょっとこの指輪かわいい!!どこで買ったとー?今度連れて行って〜」
杏、私の左手を持ち上げて指輪をのぞき込んだ。
―キィー!!もう!!指輪なんかどうでもいいのよっそんなパンツ見えそうなスカートはいてっそんな下着みたいた服着てっ他の男が見るじゃない!!
私、立ち上がり杏が持っていた上着を取り上げると杏の肩に掛けた。ちょっと、いや、かなり乱暴に…
「タケ子君?」
―はっ、…え…あ、あれ?あれ?
「や、やだ、ごめん」
私、杏から離れた。
「…ううん…」
杏はゆっくり立ち上がり、私に深々頭を下げた。
―え…
「ごめんなさい…心配…してくれたんだよね…」
―ちょっ、ちょっと、何…
「やめてよ、私が悪いんだから…」
たまらず杏に駆け寄った。そんな私に杏は頭を下げたまま首を振る。
「いいからやめてよ、顔あげて」
私、杏の両肩を支えるように持ち上げた。
―!!っ
杏の目に涙が溜まっている。
「…いつもそう…」
―え?
杏は目に涙を溜めたままポツリと語りだした。
「…いつも…心配してくれとうのに…怒らせるっちゃ…私…本当…だめやんね…」
―…杏…
それは自然で本当にあまりに自然で、自分でも気づかなかった…私は…杏を抱きしめていた…
「…タケ子君…あ…ありがとう…」
ビクッー
杏の蚊の鳴くような小さな声。その声でやっと気が付いた。
「え!?あっ、ご、ごめん!!」
そしてようやく杏を解放する。
―え?…え…っと…えー…とっ…
「タケ子君…今日、本当ごめんね…ありがとう!!」
杏、そう言うと私に背を向けて走り去った。私の思考は完全にショートしてて、その時の杏の表情も仕草も…何も頭に入っていなかった。
私の思考が戻ってきたのは、自分の家の二階へ続く階段を登ってるときだった。
―…ん?ちょっと整理してみようか…杏の格好が気になって、杏に言ったのよね、うん、で?私何を考えてた?何をした?えと…ちょっと肌出し過ぎって思って、いや、その後…えと…杏の上着を着せて、いや、その前…えーっと…
‘他の男が見るじゃない’
―…え?…何それ…だって別にいいじゃない。や、やっぱり嫌っ。ええ!?どういうこと?…しかも私…杏を…だ…だ…抱きしめた??…これって…いや、まさかぁ〜だって私春樹がいるし…いやでも…え?だって…本当に?いや、うそよ…そんなことっ……
私の思考は…再びショートした…瞬間、ズドドドドドドーン!!
私は階段を転がり落ち、そのまま意識を失っていた…
これが私、本田タケ子(本名武彦)の女に恋をした。かもしれない瞬間だった。


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