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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの絆<前編>-10

「んふふっ、大っ成功!」
水沢は宮木さんの出て行った方を見つめ、満足気に微笑んでいる。
(何が『大成功』だよ…)
「水沢、いい加減にしてくれる?ハッキリ言って、邪魔だから」
「何が邪魔よ?それに、好きならその人に幸せになって欲しいと思うのが普通じゃない?私、聖のコトだぁ〜い好きだし!だから私は、その為に動くの」
(そんなの、ただの綺麗事だ…)
「水沢が宮木さんにベタボレなのは分かるけど、それと一緒にしないで貰えるかな?水沢は、深く誰かを愛した事がないからそんな甘い事が言えるんだ」
「何よ?私にだって、好きな人くらい居るわよ」
「そう。でもだからって、水沢に俺の気持ちは理解できないよ」
(俺のこの想い…水沢なんかに分かる訳がない)
「分かるわよ。松田の気持ちは、よく分かる」
言いながら水沢は、フッと寂しそうな笑みを浮かべる。その言葉に、さっきまでの様な覇気が無い。

「私だって…松田とおんなじ。好きな人は、絶対に私を見てくれないの。アイツが見てるのは…私の親友だけ……」
(それって…まさか……)
俺の脳裏に、かつての親友の姿が浮かぶ。
(光輝の、こと…な、のか?)

俺には水沢が理解出来ない。
親友と好きな男がくっつく様にワザワザ手助けをしてやるなんて、俺には到底真似できない。
そんな水沢の健気さには、尊敬さえもしてしまう。
けど、だからって…水沢を立ててやろうだなんて思わない。
俺は水沢とは違う。
水沢の計画を黙って見ているつもりは無い。

俺は乱暴に椅子から立ち上がると、そのまま教室を飛び出した。


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