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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの嫉妬-4

絢音の笑顔なんて、見たくない。
光輝君の姿も、見たくないの。
今までずっと私に隠れて二人で会ってたのかと思うと、どうしようもなく悶々としてしまう。
考えたくもないのに、笑いあう二人の姿と松田君の言葉が、いつまでも頭から離れてくれないの。

それに…行き場のない光輝君への想いの処理方法が分かんなくて、ものすごく苦しいの。
もう“好き”だと自覚してしまったのに、私はこの想いをどうしたら良い?

ねぇ誰か…教えてよ。
私はこれから、どうしたら良いの?

こんな気持のまま、学校になんて行きたくない。
二人には…会いたくないよ……


風邪は治っても、気分は晴れないまま…久しぶりに登校した私を、いつも通りの絢音が出迎えた。

「聖、もう大丈夫なの?無理してない?」
本気で私のことを心配してくれる絢音を見て、胸がズキズキと痛くなる。
そして、改めて思う。『絢音は今まで、どんな気持ちで私と接していたんだろう?』って…

「どうしたの?やっぱりまだ、体調悪い?」
「う、うぅん。へいき…」
「そぉ?なら良いんだけど…あっ、そうそう!光輝君が、すっごい心配してたよ?」
絢音が、軽くフフフッと笑いながら言う。とても嬉しそうに…

「聖が休んでるのは自分のせいじゃないかって、ずっと気にしてたみたいなんだけど…また何か有ったの?」
「なんにも…無いよ?」
「そぉ?そんな風には見えないんだけどなぁ……まぁ、良いわ。今日のところは、病み上がりってことで勘弁してあげる!」
それから絢音は、『具合が悪かったらちゃんと言ってね!』などと言いながら、自分の席へと戻って行った。

「はぁ〜」
(良かった。あっちに行ってくれて…)
私の為を想って教えてくれてるのはちゃんと分かっているけど、絢音の口から光輝君の名前が出ると、ものすごく面白くないの。
はっきり言って、光輝君の話は聞きたくないと思った。
だって、『いつそんな話をしたの?』とか、『また二人っきりで会ってたの?』とか…そんな事ばっかり気になっちゃうから。


「聖、ちょっと待て!」
2限目の移動教室…絢音と一緒に化学室へと向かう途中、急に後ろから腕を掴まれて、私は歩みを止めさせられる。
「何よ?急いでるんだけど…」
意識はしていなくても、言葉が妙にトゲトゲしてしまう。
だって、私の腕を捕まえているのが光輝君だから…

「ちょっと話が有る」
「私には無いよ…」
私は視線を光輝君から逸らしながら言った。
「俺には有るんだよ。悪い、水沢…コイツ、連れてく!」
「オッケー!先生には保健室に行ったとでも言っておくから、ごゆっくりど〜ぞ〜!」
絢音が満面の笑みを浮かべて、手をヒラヒラと振る。
「ちょ、ちょっと絢音っ!いっ、痛いよ光輝君…放してっ!」
私は腕を強く掴まれたまま…ズルズルと引きずられながら、あっさりと光輝君に連行されてしまった。


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