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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの初恋-2

一瞬の隙も与えて貰えずに絢音に引っ張られてやって来たのは、特大パフェが人気のカフェ。
ここは学校の近くに有るから、店内はうちの高校の生徒達でかなり賑わっている。
周りを見渡すと、見知った顔もちらほら…
(絢音ってば、ここに来たくてあんな事を?よ、良かったぁ…)

「ん〜、幸せぇぇ…」
運ばれて来た特大パフェを早速頬張って、絢音は目をとろ〜んとさせている。
私は普通サイズのパフェを頼んだんだけど、絢音は『レッツ、チャレンジ!』とか何とか言って、高さが30センチくらい有る特大パフェを嬉しそうに注文していたの。
だから絢音の前には、塔の様なパフェがそびえ立っている。
(うわぁ、あの量を一人でなんて…私には絶対ムリ!)
見てるだけで満腹になりそうなそれを横目で見ながら、私も自分のパフェを一口…
「おいしい!」
つい顔が緩んでしまう。
「でしょ!?やっぱり疲れた時には甘いものよねぇ…」
「ん?今日って、何か疲れる事したっけ?」
「勉強疲れ!」
(あはっ、なるほど…)


「ねぇ、さっき言ってた『じっくり話したい事』って何だったの?」
目の前のパフェが半分くらい食べ進んだ頃、私は少し気になっていた話題を切り出した。
驚くべき事に、絢音のパフェは物凄い勢いで食べ進められている。
「そうそう、それ!危うく忘れる所だったわ…」
絢音がパフェ用の長いスプーンを、顔の近くで振りながら言う。
「話したい事ってのはさぁ、松田の事なんだよね…」
「松田君?」
「そう!聖…いつまでも松田と一緒に居て良いの?」
「なんで?」
「なんでって…誤解されるわよ?光輝君に。」
(誤解…かぁ……)
絢音の言葉を聞いた途端、光輝君に言われた『博也と付き合ってるの?』という言葉が脳裏に浮かんだ。あの時の光輝君の寂しそうな顔も…

「やっぱり…付き合ってる様に見えてるのかなぁ……」
私がボソッと言った言葉を聞いて、絢音が目を丸くする。
「はぃ?聖にしては珍しく自覚有ったの?」
(自覚有ったって言うか…)
「光輝君に…言われて……」
「へぇ、それはまぁ!んふふ…そういう事なのね……」
少し気分が沈んでしまった私に、絢音はニヤーっと意味深な笑顔を向けている。
「な、何よ?」
「べ〜つにぃ〜!」
(気持ち悪いなぁ、もぉ…)
私はちょっとだけスネながら、残っていたパフェを一気に口に放り込んだ。でも、口一杯に入れたせいか、強烈な甘さが喉に引っ掛かってムセそうになってしまう。
そんな私に絢音は、目を細めて微笑ましそうな視線を向けながら、水の入ったグラスを差し出してくれた。


松田君の事に関しては、これでも一応ちゃんと考えてる。
このままじゃいけないって事も、ちゃんと解ってる。
でも、もし松田君と一緒に居る事を辞めたら…それを考えたら、松田君の誘いを断るなんて出来ないの。
だって、そうしたら私がSクラスに行く口実が無くなっちゃうから…
今までみたいに光輝君に会えなくなっちゃうのはイヤ。でも、誤解はされたくない。
私…どうしたら良いの?


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