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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの初恋-1

光輝君が好き…やっと私は、自分の気持ちに気付いたの。
でも、そうは言っても、私にはそこからどうしたら良いのかが分からない。
好きって何?好きだから何?
恋愛初心者の私には、難しすぎる問題だよ…

「あ、あのね、絢音…」
私はとりあえず絢音に報告だけでもしようと思って、勇気を振り絞って口を開いた。
「ん?」
絢音がお菓子を頬張りながら、視線だけをこちらに向ける。
「わ、私…えぇっと……」
「なぁに?」
「えっとぉ…」
(こういう時って、どう言ったら良いの?分かんないよぉ…)
「お菓子食べる?」
「あっ、貰う〜!」
私はついつられて、絢音が持っている箱へと手を伸ばした。でも、お菓子を手にする手前で、ハッとして手を引っ込める。
(違うじゃないっ!)

「あ、あのね…私、絢音に報告したい事が有るの!」
私は意を決して、再度口を開いた。心臓が必要以上にドキドキしてるのが分かる。
でも、絢音は特に表情を変えずに、首を傾げながら平然と言い放った。
「報告?やっと、好きだって事に気付いたんでしょ?」
「う、うん……って、なんでっ!?」
(なっ、なんでもうバレてるのよぉっ!)
いつもの事ながら絢音は鋭い。鋭すぎて怖いくらい…
「なんでって…そりゃぁねぇ、顔に書いて有るし?」
(へっ、顔!?)
私は思わず両手で顔を覆った。
「あははっ、冗談だって!聖ってば、ホント、からかうと面白〜いっ!」
(はぁ?絢音までそんな…)
「私は面白くないっ!」
絢音はお腹を抱えて、ゲラゲラ笑い転げている。
(全く…どうして皆して私をからかうのよ……)


絢音のからかいは放課後まで続いて、気付けば松田君が迎えに来る時間になっていた。
まぁ、いちいち反応しちゃう私が悪いんだけどさぁ…
松田君の登場に『これでやっと解放される』と思ったのも束の間…絢音が私と松田君の間に立ちはだかった。

「松田、委員会の仕事って、もう終わってるんでしょ?」
「まぁ、大体は…」
「じゃぁ、今日は私が聖を借りるからっ!」
「「は?」」
私と松田君の、何とも素っ頓狂な声が被る。
だって、私はそんな話、絢音から全然聞かされてなかったの。
(もしかして絢音サン…まだ私をからかい足りないのデスカ?)
全身から、さぁっと血の気が引くのを感じる。
そんな私に気付いているのかいないのか…絢音は、迷子の子犬の様な顔をして言った。
「だってぇ…いっつも松田が聖を連れて行っちゃうんだもん…私だって聖と遊びたいのに……」
(あ、絢音サン…その顔は卑怯でしょ……)
いつも元気な絢音にこんな顔をされてしまったら、誰だって『NO』なんて言えないと思う。
案の定松田君も『今日は諦めるよ』とか言って、アッサリと引き上げてしまった。
(あ゛ぁぁ…ま、松田くぅん……)

「チョロいわね!」
松田君が去った途端、絢音はイタズラっ子の様な笑みを浮かべてペロッと舌を出した。
「という訳で、今日は久々に付き合って貰うわよ!じっくり話したい事も有るしね!」
「う゛…」
「んふふ、覚悟してなさいよ!」
(だ、誰か助けてぇ…)


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