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『限り無く青い春の下で』
【青春 恋愛小説】

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『限り無く小さな俺の中で 前編』-2

「な…聞いてる…で…か?」
ん?
「なに聞いてるんですか?」
気がつけばそこには蒼衣サンが立っていた。 あまりに爆音で聞いていたため全然気付かなかったみたいだ。あわててイヤホンを外す俺。
「わぁっ!ごっごめん! えっとえっと、なっなんだんだっけ?」
完全にパニクってる俺。リキが餅を喉につまらせて帰らぬ人になりかけた時以来のパニクりようだ。
「もぅ!三回目ですよ? なに聞いてたんですか?」
若干頬を膨らませながら怒り顔を作って見せる蒼衣サン。 やべぇ…かわいすぎる。。。しかしなんでこんな秘境に?
俺のクラスは端っこの端っこだ。
「聞いてます?」
「えっ!?あっ聞いてる聞いてる!!」
急に現実に引き戻される俺。 でもなんと答えれば良いものか… 素直に言ってもわからないだろうし、ウソをつくのもなんだか気が引ける…
ちなみに言って置くが俺は今日はじめて学校で蒼衣サンと話した。
「えっと、今聞いてるのはART-SCHOOLってグループなんだけど…? 知らないよなぁ。」
たぶん十中八九知らない人のが多い。しかし返ってきたのは意外な答えだった。
「…名前だけなら…聞いた事あります」
「えっ?マジで!?知ってるんだ!?」
「あっ、名前を知ってる程度ですよ?聴いたことはないです」
でも知っているって事はうれしい。 マニアックなぶん分かち合える人がいるってのはめちゃめちゃ貴重な事なんだ。
「へぇ、蒼衣サンも結構音楽好きなんだ。」
「いや、ホント最近勉強しはじめたばっかりで… 荒木君が詳しいって聞いてたから聞いてみようって思って」
ニッコリ笑いながら言う蒼衣サン。 やばいって… ぶっ飛びそう…
しかしなんでこんな秘境の地に? クラスの位置のせいで訪れる生徒も少ない我がクラスに。
「ART-SCHOOLってあれですよね? メンバーが変わった… 確か…ポニーキャニオン?所属の」
「そんな事まで知ってるんだ? でも聞いた事ない」
「そうなんです。 だから荒木君に頼もうかと思って。」
「えっ?」
「いや…だから…ART-SCHOOLってグループ聞いてみたいから…その」
「あぁそういう事。 いいよ、最初のアルバムでいいかな?」
「はいっ。良かったぁ♪」
「もしかしてそれだけの為にここまで?」
「えっ? あぁ、それだけじゃないんですけど、それもあります。 」
「んじゃあなんでこんな端っこのクラスに?」
「えっとぉ…そのぉ…わ、訳もなく来ちゃまずかったですかね?」
「へっ? いや…まずくはないけど。 どうしてかなぁって思って」
やばい、話が繰り返しちまう。まぁどうでもいい事だし流しとくか。 今は蒼衣サンとの会話に集中すべし!
俺がもういいと言おうとしたその時に蒼衣サンが細々と話しだした。
「荒…君が…えた…か…ら…」
あまりに小さい声なのでつい聞き逃してしまう。 自然に答える声が大きくなる。
「えっ?」
「荒木君が窓から見えたから…!!その…お話し…したいなぁって…」
急激に大きくなった声はやはり最後の方では消え入りそうだった。


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