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『限り無く青い春の下で』
【青春 恋愛小説】

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『限り無く小さな俺の中で 前編』-3

「ほら! 荒木君いつも木下君か田中君がそばにいるから話しかけずらくて…。 さっき向こうの校舎で木下君と離れたのを見たから…その…」
話しかけてくれた訳か。
「ごめん!…迷惑だったかな?」
なんで謝る訳!?
「えっ!んな事全然!! 俺も蒼衣サンと話したいと思ってたから…その…なんだ? えっと…う、うれしいよ」
たぶん今の俺の顔は完熟トマトよりも完熟だろう。 いや、意味わかんねぇか。 とりあえずそれぐらいハズいっす。
「…ホント? 良かったぁ…」
満面の笑みで答える蒼衣サン。
想わず見とれてしまう俺。 バッチリ眼が合う。 ジッと見つめる黒いまなざし、長いまつ毛に揺れる前髪。
少しハニかむその顔は天使の様だった。


前々から話はしたかったらしい。 けどあまりにも俺がリキとスグルと一緒にいるせいで話かけずらかったんだとか。
そりゃそうか、スグルもモテるしリキなんか話かけるだけでライバルと見なされるぐらいだ。 話しかけずらいっちゃかけずらいだろう。
…!そうか!俺がモテない原因はそういう所にもあったのか!!なっとくだ…

「荒木君と田中君と木下君、本当に仲良いよね。いつも一緒だし。」
「おかげでこっちは良い迷惑だよ。 やれ紹介してだの、やれ仲取り持ってくれだの。 アイツらといると暇しないよ」
俺が自嘲ぎみに言う。 でもそういうのも断れない俺も悪いんだよな。
「でも断らないんですよね? 偉いじゃないですかぁ」
「しかたなしだよ。 俺なんか人の面倒みてる余裕なんてないんだから。 自分の恋で精一杯だよ」
「へぇ… 恋…してるんですか?」
しまった、つい話しの流れてで言っちまったい。どうしようか? 否定しといた方が良いのかな?
「したらって意味だよ。 実際モテないから俺」
どうだ? やんわりよけたつもりだが?
「アハハッ、モテてますよぉ荒木君。かっこいいじゃないですかぁ」
おっ?期待どうりの反応。 お世話でもやっぱうれしい
「いいよいいよ、気使わなくても。 長い事アイツらの横にいるから慣れてるし」
「そんな事ないですよ!? 荒木君人気ありますよ? 私……私の友達もかっこいいって言ってましたし」
んっ?なんか今言い直さなかったか? …気のせいか。
「ありがと。 胸にしまっとくよ。 蒼衣サンはどうなの? 好きな人とかいないの?」
よし!我ながら見事な話しの流れだ。これなら聞いても不自然じゃあるまい
「私?私はね〜 フフッ、ナイショ! まだ荒木君には言えないかなぁ」
まだ?まだってなんだよ?
「ふーんそうなんだ。 」
若干言葉に困る、こういう時どういう反応をしたらいいのかわからない。 このへんがたぶん俺とスグルの経験値の差ってやつなんだろう。 我ながら自分が情けない。
「んっ?どうしたの? 私まさか荒木君が気に触る事言っちゃった?」
自己嫌悪におちいっていた俺を機嫌そこねてしまったと思ったらしい、今にも泣き出しそうな顔でこっちを見ている。
「大丈夫大丈夫。ちょっと考え事してただけだから」
「良かった♪ 難しい顔してるから怒らせちゃったかと思った。」
パッと顔が明るくなる。 今日なんどめかの直球ど真ん中ストレート。 ズドンっと俺のグローブにひびく。 いや、意味わかんねぇか。
しかし初めて会った時と変わらず喜怒哀楽が激しい人だな。 見てて飽きないと言うか、ちょっと抜けてると言うか、…かわいいと言うかなんというか。。。 別にのろけでもなんでもない、率直な感想だ。
ホント…楽しい。
俺、今幸せだ。


後編に続く


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