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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの会話-6

もう誰も居ないだろうと思って目的の教室のドアをガラッと開けると、私の予想に反して生徒が一人まだ残っていた。
(なんで…まだ居るのよ……)
それは窓際の席…光輝君が、自分の机に突っ伏して寝ている。
私の足は、勝手にそちらへと動いていた。

気持ち良さそうに眠る光輝君…夕陽が髪に当たって、ほんのり赤く輝いている。
その寝顔を見ていて、私の中からは沸々と怒りが沸き上がって来てしまった。
(なんなのよっ!穏やかな顔しちゃってさ…)
「光輝君のばかっ!」
私は寝ている光輝君の頭を、バシッと叩いた。
「ぅ…んん……やべ、俺いつの間に寝て…って、聖?なんで?」
「『なんで?』じゃないわよっ!なんでそんなに普通なのよ?私ばっかり…バカみたいじゃない……」
頬を温かいものが伝っているのを感じる。感情が高ぶってしまって、抑えが効かない。
「挨拶くらいしてくれたって良いじゃないっ!そんなに冷たくしなくても良いじゃないのよぉ…」
「あ〜っ、泣くなって…」
「光輝君が悪いんだからっ!光輝君が…冷たいから……う゛ぅぅ……」
「あぁっ、ゴメンって!参ったなぁ…」
光輝君が手を伸ばして、私の頬を拭ってくれる。
泣きたくはない。でも、次から次へと涙が流れてしまって、どうしても止められないの…

「仕方ないなぁ…」
光輝君は暫くして小さくそう呟くと、イスから立ち上がって私をその胸に抱き寄せた。
突然の出来事にビックリして、私の涙は一瞬で止まる。

私とは全然違う広い肩…身長だって全然違う。全身で光輝君の体温を感じて、心がぎゅ〜っと苦しくなる。
(この感じは…何?)
心臓があまりに煩くて、まるで自分の心臓じゃないみたい…

光輝君が、私の背中をポンポンと優しく叩いている。まるで小さな子供をあやすみたいに…
「早く泣き止めって…」
耳のすぐ近くで囁かれた言葉が、物凄く擽ったい。
「子供扱いしないでよ…」
「子供を子供扱いして何が悪い?」
「子供ぢゃないっ!」
「じゃぁ、泣き止めよ…」
「もう泣き止んでるもんっ!」
私の言葉を聞いた光輝君が、そっと体を離す。
急に体温が離れてしまって、体だけじゃなくて心まで寒い…


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