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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの会話-7

「聖?」
下を向いていた私の顔を、光輝君が心配そうに覗き込んだ。
「どうした?やっぱりまだ泣いてるのか?」
光輝君の真っ直ぐな視線が、私の瞳とぶつかる。その途端、私の顔が一気にカーッと熱くなった。
「ははっ、タコみてぇ…」
「タコじゃないっ!光輝君のイジワルっ!」
「意地悪で結構!」
「もおっ!」
私はタコ呼ばわりされて怒ってるのに、光輝君は楽しそうに笑っている。
(なんか、すっごい負けた気分…でも…まぁ、いっか!)

私の心の中の霧が、スッと消えて行く。
私、たぶんずっと、光輝君と昔みたいに話がしたかったの。
やっと再会出来たのに、あの日以来、全然話せてなかったのが悔しかったの。

「ねぇ、光輝君…」
「ん?」
「子供扱いでも良いからさ、挨拶くらい…させてよ……」
「………」
「私ね、もっと…光輝君と…話…したいな。」
私がそう言うと、光輝君は無言のまま頭を撫でてくれた。温かくて…優しい手で……
それがあまりに嬉しくて、私は自然と笑顔になっていた。そして光輝君も…目を細めて幸せそうに微笑んでいた。

幸せな時間…でも、その時は全く気付かなかったの。
私達を…冷たい目で見ていた人が居たなんて……


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