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dream・road
【青春 恋愛小説】

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dream・road〜last dreamer-9

(残り八秒……俺は二回ぶっ倒れてグロッキー。押せば倒れそうな奴をわざわざ見逃すか?いや……!)


ダミアンが目の前に肉薄する。大きく右腕を振り上げたのを目の端で捉える。


(来るっ!)


死神が大鎌を振ってくることを龍矢はダミアンの性格から確信していた。そして、そのような場合の対処に、頭よりも先に身体が反応する。

出せる限りの力を使って、龍矢はダミアンの懐に潜り込んだ。頭上で空を切り裂く音が聞こえた。間一髪というやつである。

ダミアンは、龍矢が自分の拳を避けられる筈が無いと思っていた。なのに、今その男は自分の懐に潜り込んでいる。


(なんで、なんでだよ……!??!!?)


動けるわけがない。ましてや自分のパンチをかいくぐるなんて……。


ズドンッッ!!


大砲の様な衝撃を腹部に受け、ダミアンの混乱は強制的に静められた。しかし、また新たな疑問が沸き上がる。


(なんで、なんでこんなにふらふらしてるのに……そんなパンチが打てるんだよ!)


しかしその新たな疑問も、再び腹部に受けた衝撃により頭の外に追い出される。


「…ガアァっ!」


ダミアンの左拳が龍矢の頭部を狙う。しかし、踏み込みも腰の回転もないただの手打ちは、龍矢に軽く避けられる。龍矢の姿は完全にダミアンの視界から消えた。


瞬間。


ゴッッ!


顎から脳天に衝撃が突き上げる。そして、ダミアンはマットに膝をついた。


カァン!!


同時にゴングの音が鳴り響く。ダミアンのダウンはゴングと同時のために無効だったのだ。

ダミアンが顔を上げる。そこには、東洋の黒き戦士が悠然と立っていた。




二階の通路では、カイとレイラが息を飲んでこれからの展開を考えていた。


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