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dream・road
【青春 恋愛小説】

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dream・road〜last dreamer-10

『どうなるのかしらね……』


レイラはカイに意見を求めたが、カイは何も応えない。不審に思ってカイの横顔を見てみると、その顔は興奮と読める感情を浮かべていた。


『カイ……?』
『見たことねぇよ、こんなの。まったく試合内容が見えないんだ』
『読めない…ってこと?』


レイラの質問にカイは軽く頷く。


『誰もが最初のラウンドの展開から、勝負は中盤以降になると思っていた。だが、実際にはダミアンが先に仕掛け、タツヤは二度も沈められた。なのに……』
『立ち上がった上に、ダミアンに反撃までしてみせた…でしょ?』
『俺は……こんなにも龍矢が健闘するなんて、正直思わなかった』


カイは、レイラに自分の考えを述べ始める。


『これは、もう普通のタイトルマッチじゃない。まるで……』
『まるで最高のエンターティメントって言いたい?』


締めをレイラに奪われ、カイは少し恥ずかしそうにうつむいた。


『俺は、この舞台には立つことは出来なかった……』
『出来るわ』
『え?』
『貴方なら出来る。私は信じてる。だから、諦めちゃ駄目。応援する、支えてみせる。だから、絶対に諦めないで』
『レイラ……』


カイの声と共に、第三ラウンドのゴングが鳴る。二人は少し間を置いて、再びリングに顔を向けた。




第三ラウンドリング上、二人のボクサーが交錯する。

ガードを固める龍矢にお構いなしに、ダミアンは拳を叩き付ける。しかし、幾度か腕を振り上げると、龍矢はそのパンチをかわし、的確にボディに一撃をくれ、さらに相手を押し飛ばすようなパンチを繰り出す。

二人の距離がせばまり、一合の後に開く。それが数回繰り返され、段々と異変が表れ始めた。

ダミアンの動きが目に見えて衰えているのだ。

(チィッッ、足が……!!)


龍矢もダミアンも、互いにニラウンドを休むことなく闘った。それはスタミナ配分をまったく考えていないということ。

いかにスタミナをつけようとも、実際の試合ともなると減り方は二倍にも三倍にもなる。

龍矢はダミアンの猛攻によってスタミナと体力を削られたが、ダミアンもまた休まず攻め続けたことと、龍矢の地味なボディへの反撃によってスタミナを奪われていたのだ。


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