dream・road〜last dreamer-3
ギリッ……。
(っの野郎ッッ!!)
『まずい!』
カイが叫ぶと同時に、龍矢はダミアンへと突撃していった。
「待つんだ、タツヤ!」
突進していく龍矢にミゲルは必死に声を張り上げた。ミゲルにはわかっているのだ。長年の勘と言うやつから、ダミアンがどのような行動を起こすのか。
だが、そんなミゲルとカイの思いは龍矢には届かない。体勢を低くして、猛然と突進していく。全てがダミアンの計画通りだと知らずに。
(バカが!!)
ダミアンは心の中で舌を出すと、自分の頭の中にある計画を実行に移す。
軽く身体を屈(かが)めると、左拳を下から突き上げる。地面直前から打ち上げられたダミアンの拳は、寸分違わぬタイミングで龍矢のアゴを打ちすえた。
低く保たれていた龍矢の身体が、ダミアンの拳によってかち上げられる。同時に、ダミアンは右の拳を固く握り締めた。
(なんでライトが見えてんだ……)
龍矢はライトを見上げながらふと自分の状況を考えていた。
(確かダミアンに向かっていって、それで……)
バグッッ!!
その音を聞いた瞬間、龍矢の意識は途切れた。
病院の通路で、ダニーは長椅子に座りながらマリアと龍矢の身を案じていた。
ダニーが呼んだナース達によって、マリアは直ぐ様に分娩室へと運ばれていった。マリアのうめき声とナースやドクターの怒鳴り声が過ぎ去った後、ダニーは通路にある長椅子に腰掛けて今に至る。
ダニーは不安と怒りが混ざった、なんとも言い難い感情を抱いていた。