投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

dream・road
【青春 恋愛小説】

dream・roadの最初へ dream・road 63 dream・road 65 dream・roadの最後へ

dream・road〜last dreamer-17

三年の時が流れた。

十二月二十四日。ニューヨークの人々は、朝から落ち着きが無かった。

皆、今日と言う日を楽しみにしていたのだ。

ダニーは、手早く店の後片付けを終えると、車に乗り込んである場所へと向かった。

昨年、出来上がったばかりのスタジアムには、沢山の人だかりが出来ていた。


チケットを見て座席を確認する。ダニーが入口に入ると、通路のあちこちにポスターが貼られている。そのポスターを眺めながら通路を抜けて客席へ出た。チケットをもう一度確認すると、ダニーの座席は最前列らしい。


「ダニー!こっちこっち!」
「ん……?」


声が聞こえた方へ向くと、手を振りながら声を出している女性を見つけた。


「マリア。大声を出さなくてもわかるから…」
「嘘だよ、ダニーきょろきょろしてたもん。ボクが言わなかったら迷ってたね!」


あっさりと嘘を見抜かれる。ダニーはそれ以上言うのをやめて、マリアの隣に座る。すると、マリアの隣から、小さい子どもがダニーを覗きこんだ。


「グランパ(おじいちゃん)!」


男の子はダニーにそう言うと、マリアに抱きつきながらダニーをグランパと呼び続けている。


「トウヤももう三歳か」
「うん!」


マリアによく似た紅い髪をした男の子、凍矢。ダニーは凍矢の頭を撫でながら、リングへと目を向けた。


「トウヤ、見てろ。タツヤの姿を」
「そうだよトウヤ。これからパパが出てくるから、ちゃんと見よう」


マリアとダニーに促され、凍矢もリングへと目を向けた。



ざわついていた歓声が止む。そして、リングへと続く花道から、黒いガウンを羽織った男を先頭に数人の男達が現れた。


タツヤ!タツヤ!


観客達が再び声を張り上げる。その声を受け取りながら、タラップを上がり、リングへと登る。

ガウンを脱ぎ捨て、男は姿を現した。

黒いグローブに黒いトランクス。黒いシューズに烏色の髪をした男。


「パパ!」


凍矢が龍矢に呼び掛ける。龍矢は凍矢に向き直ると、笑いながらグローブを突き出した。凍矢も倣(なら)って小さい手を握り締めて突き出した。



リングの上に龍矢が立つと、龍矢の出てきた方とは反対側の花道から、対戦相手が現れた。


dream・roadの最初へ dream・road 63 dream・road 65 dream・roadの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前