dream・road〜last dreamer-14
(動けっ!動けよッッ!)
龍矢の拳が迫る。それが、ダミアンがみた景色の最期だった。
龍矢の拳がダミアンの顔から離れる。龍矢はずっと身構えていたが、ダミアンの眼から輝きが失せているのに気付いた。
ダミアンは両手をだらりと下げたまま動かない。レフェリーが異変に気づいてダミアンの顔を覗き込む。
瞬間、ダミアンがマウスピースと一緒に赤い霧を吐き出す。それが口内に溜っていた血だということは明らかだった。
ダミアンの前方の床が紅に染まる。眼球が上転するのと同時に前のめりに倒れ、そのままぴくりとも動かない。
レフェリーが両手を交差する。それは、試合終了の合図。
カンカンカン!!!
その音が、合図となった。
ワアアアァァ………!
観客達の歓声。
駆け寄ってくるミゲルやジムメイト。
「っっ………!!!!」
龍矢は右手を突き上げた。
御堂 龍矢VSダミアン《デスサイズ》ロペス
三R二十三秒KO勝ち。
眩いライトと、みんなの声援を聞きながら、龍矢は意識を失った。
目を開ける。そこはベッドの上だった。
周りを見渡すと、横に椅子に座って寝ているダニーを見つけた。
「ダニー」
龍矢が呼び掛けると、数瞬たってからダニーは目を覚ました。
「……タツヤ!起きたのか!?」
「今ね。それより……」
マリアは?そう聞こうとした矢先に、ダニーは病室を飛び出していった。