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dream・road
【青春 恋愛小説】

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dream・road〜last dreamer-11

龍矢が必死に反撃したボディは、的確に溝落ちを叩いていた。普通のボディブローは、何発も何発も積み重ねて相手のスタミナを奪うものだが、溝落ちの部分は別なのだ。

スタミナが奪われたダミアンは決定的なスピードを失い、さらに三度四度の打ち合いの後、リングは動から静へと移行した。

リングの二人ににつられるように、観客達は声をあげることも忘れて試合に見入っている。

セコンドのミゲル達も、龍矢に試合を預けたため、勝利を祈ることしか出来なかった。

誰もが先の読めない展開だと思っている中、一人だけ違う考えを持つ者がいた。


(ようやく止まりやがったな……)


龍矢である。


龍矢は待っていた、耐えていたのだ。この時が来るのを。

絶対的なスピードの差はどうやっても埋められない。ならばどうするか、龍矢の考えは一つだけ。

ダミアンの足を止める。

そのために、龍矢は第三ラウンドの全てをボディに費やしたのだ。

溝落ちは、普通のボディと違って速攻性がある。そのため、溝落ちを上手く叩かれると、呼吸をしづらくなるのだ。

ダミアンにスタミナがないことは、今までの試合を全て短いラウンドで決めているところから推測できた。そしてその読みは的中したのである。

肉体的なダメージはこちらが上だが、精神的なものは、明らかにダミアンの方が傷が深い。

二人が睨み合ったまま、第三ラウンド終了のゴングが鳴った。



ダミアンの陣営は、かなり狼狽していた。

差し出された丸椅子に腰掛け、ダミアンは誰にも聞こえないように、心の中で呟いた。


(俺が一番強い。俺が一番強い。俺が一番強い俺が………)


トレーナーの言葉が右の耳から入り、左の耳から抜けていく。

ダミアンは、一分間の休憩の間、ずっと心の中で呟き続けた。


(俺がチャンピオンなんだ、俺が一番……つえぇんだよっっ!!!!)




同じ時、龍矢も丸椅子に腰掛けながら、呼吸を整えていた。

こちらの陣営は、ダミアン側と違って終始静かだった。

素早く怪我の処置を施し、最低限の会話をしたあとは無言だった。だが。


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