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dream・road
【青春 恋愛小説】

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dream・road〜last dreamer-1

人は夢を見る。


多くの者がその夢を目指し、挫折を味わい、折り合いを付けて生きていく。


アメリカ、ニューヨーク。ここに二人の少年と少女がいた。


少年は夢を目指して突き進み、今まさに夢を叶えんとしている。

少女の夢はいつまでも少年の傍らにいることだった。

懸命に、ひた向きに夢を追い求めた二人。これは、そんな二人の物語である……。




カァン!!


アメリカ、ニューヨーク。十二月二十三日、午後八時過ぎ。今まさに、歴史的な大勝負が行われていた。

御堂 龍矢(みどう たつや)VSダミアン《デスサイズ》ロペス。この二人による、ボクシングの王者決定戦が行われているのだ。

ゴングの音が会場に響きわたり、第一ラウンドの終了を告げる。コーナーに戻ってきた龍矢を、トレーナーのミゲルは緊張した眼差しで迎えた。

差し出された椅子に座り、龍矢は呼吸を整え始める。

「いいぞタツヤ。いい調子だ」
「ああ…」

ミゲルは龍矢を褒めるが、実の所はまだまだ不安であった。龍矢も、自分が優勢などとは微塵も思ってはいない。



試合開始直後、迫ってくるダミアンに龍矢は必殺の武器であるライト・クロス(相手の右に右を合わせるカウンターパンチ)を繰り出し、見事にダミアンをマットに這わせた。

しかしダミアンはその後見事に立ち上がり、ガードを固めてダメージの回復に努めた。

龍矢も、まだ序盤に無理な攻めはせずに、ダミアンに回復をさせないように散発的に攻撃を出すに留めていた。

会場の人々の間からざわめきが広がる。
二人とも、豪快な闘いが信条のタイプである。予想外の静かな立ち上がりに、観客たちはざわめきを静めながら息を飲んで次のラウンドを待っていた。



『ダミアン!大丈夫か!?』

ラウンド間のインターバル。ダミアンのセコンドは、初めて見たダミアンの苦戦する姿に焦りを隠せなかった。ダミアンは大丈夫と言う代わりに頭を軽く縦に振り、大きく深呼吸をする。


(熱くなるな…クレバーに、冷静に闘えば負けはしねぇ……。)


必死にダミアンは自分の感情をコントロールしたが、初めてダウンをもらった衝撃は、胸の奥に怒りとなってくすぶっていた。


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