dream・road〜scene-3rd-13
リングの上では龍矢とダミアンが互いに睨みあっていた。
『カカッ!いい勝負にしようぜ?』
「あぁ、そうだな。よろしく」
ダミアンの挑発を龍矢は軽く流した。それが面白くなかったのか、ダミアンの目が一瞬にして血走った。
レフェリーに促され、互いにコーナーに戻る。ミゲルは龍矢に何も言わなかった。
龍矢も何も言わない、しかし、龍矢にはミゲルの言わんとしていることがよく分かった。
レフェリーが開始の合図を告げた。
ゴングが鳴る。
龍矢の闘いが始まった。
ダミアンはゴングが鳴ったと同時に龍矢へと突っ込んだ。先刻の龍矢の態度が気に食わなかったのだ。
(舐めやがって……!)
龍矢はコーナーを背にしてその場から動かない。龍矢とダミアンの距離が無くなっていく。
(食らいな!)
ダミアンが渾身の右を放つ。身体中に力を入れたその一撃は、必殺と言っても過言ではない威力。
拳は龍矢の顔面へと伸びていく。その刹奈、龍矢の体が微かに動いた。
ズドンッッ!!!
ダミアンの視界には天井とライトが写っていた。
(な、何が…)
「立てよ」
足先の方から声が聞こえる。そこには悠然とたたずむ黒き戦士の姿があった。
『ファイブ!』
カウントをとられていることに気付き、ダミアンは急いで起き上がった。
龍矢は目の前の悪魔を見る。自分の身体の奥底から力が溢れてくるのが分かった。
「容赦ぁしねえぞ……」
やっとたどり着いた夢の前には、死神が鎌を研いで舌舐めずりをしながら待ち構えていた。
少年と少女は夢を懸命に追い掛けた。この結末がどうなるか……それは、最後の話で語られる……。