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ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

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ヴァンパイアプリンス2-1

「んッ…少しだけって…もうダメょッ…」
「…もう少し」
「やッ…ホントに…ッもッ…」
―ドサッ
「あ…月下!?月下、しっかりっ!!」
「きゅ〜〜」

「もうッ!あんなに吸われたら血なくなっちゃうよッ」
月下はベッドに寝かされていた。
今日月下は、宏樹の家に遊びに来ている。
月下が宏樹に夏休みの宿題を手伝ってもらいに押し掛けた、と言った方が正しいのだが…

「頭に血が回んないぃぃッ」
月下はベッドに寝転がりながら、宏樹にうったえる。
「月下…心配しなくても大丈夫だょ。月下の宿題もう終わった」
「ホント?」
さっきまでの気持ちはどこへやら…
月下の目はキラキラ輝いていた。
「ありがとッ、宏樹!助かったッ」
月下はベッドから起きて、宏樹に抱きついた。
「…俺に逢いに来てくれたと思ったのに、宿題やれって…」
「う…」
宏樹が月下のイタイ所をツく。
「俺…月下の彼氏だよね?都合のイイ男じゃナイよね?」
「ちッ違うよッ」
月下が慌てて、否定する。
「…スキじゃなっきゃエッチしない…」
月下が顔を赤く染めて宏樹の背中に顔を埋める。
宏樹は満足そうに笑った。
「じゃあ…何かお礼してくれるよね?」
「えッ!?」
月下は驚いて顔を上げる。
宏樹の目は明らかに、黒く輝いていた。
「なッ…何?」
(何をたくらんでるの!?)
宏樹は月下を自分の正面に立たせた。
「月下は俺が、お礼にエッチさせろ〜って言うと思ってる?」
「え?違うの?」
宏樹の予想的中。笑 月下があまりにも真面目な顔で言ったので、宏樹は苦笑いをするしかなかった。
「ん〜…ソレもイイんだケドね。今日は俺のワガママを聞いてほしいんだ。」
「ワガママ?」
「そう。」
宏樹は眼鏡を外し、机に置いた。
「イイ?」
月下は少し考えて、頷く。
「うんッ。」
―…
『ドコ行くの?』
『秘密ッ』
(何で行き先教えてくれナイんだろう。)
行き先を告げられずに月下は歩いていた。
家を出てから、5分弱。二人は一言も話さない。

「…月下」
家を出てから、初めて宏樹が口を開いた。
「ん?何?」
「手…つないで?」
月下の前に、宏樹の手が出される。
「うんッ」
そう言って、月下は差し出された手をとった。
(大きい手…男の人の手だ。)
月下はギュッと宏樹の手を握り締める。
「ね、宏樹。」
「ん?」
「あたしに宏樹の事、教えて?」
宏樹は微笑んで言った。
「イイょッ」
―…
「へぇ〜ッ。宏樹、にんにく平気なんだ」
「うん。十字架も平気だよ」
月下は宏樹に、気になっていた吸血鬼の事を聞いていた。
「昔の人は吸血鬼がにんにくや十字架がニガテって信じてたらしいんだケド、全然そんな事ナイんだ。」
「ふ〜ん。」

二人は手をつないだまま、川沿いを歩いた。日が段々と落ち、川沿いという事もあり、少し涼しく感じる。

「ね、本当にドコ行くの?そろそろ教えてよ」
「ん〜?」
宏樹は妖笑を浮かべているだけで、月下の質問には答えない。
(隣町まで来ちゃったじゃナイ…)
「…着いたよ、月下」
「え?」
月下の目の前には、古風な家。
「…ココ?」
「そう、ココ。」
月下には、宏樹が何故ココに連れてきたのかがわからなかった。
(何故、家!?)
月下の顔には『?』マークが浮かんでいた。そんな月下を見兼ねて宏樹が口を開く。
「…ココはね、俺の婆ちゃん家。」
「そうなの?…で何であたしを…?」
「ちょっとねッ。さ、おいで」
「ちょッ…」
宏樹は月下の手を引いて、家の中に入った。
「…。」
月下はお座敷に通されていた。
(宏樹、どうゆうつもりなの?!)
宏樹は月下に麦茶を出し、そのまま消えてしまった。
広い座敷には月下一人。
月下は麦茶を一口飲んだ。
(…懐かしいニオイがする…)
畳のニオイが妙に心を落ち着かせる。
月下がコップを置くと同時に、障子が開いた。
「…アラ?どなた?」
ソコには月下より少し年上だと思われる女の人がいた。
(お婆ちゃんの家じゃナイの!?)
月下はパニクり、土下座しながら挨拶をした。
「あッあ…あのッ!宏樹さんとお付き合いしているッ月下ですッ!峰島月下ッ。」


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