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ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

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ヴァンパイアプリンス-5

「…んッ」
(あたし…また寝ちゃったんだ…)
月下が起きると、枕元に月下の服と手紙が置いてあった。
『起きたら、着替えてリビングに降りてきて。家まで送るから』
月下はベッドを見て、さっきまでの事を思い出し顔を赤らめた。
(どんな顔して逢えばイイのぉ?!)
月下は服を着ると、いろんな事を考えながらリビングに向かった。

―ガチャ
リビングでは雅人がテレビを見ていた。
「兄貴ならキッチンに…」
月下に背を向けていた雅人が、いきなり振り向いた。
「ふ〜ん…処女じゃなくなってる」
「えッ?!」
雅人はニヤニヤしながら、月下を見た。
「なッ何でッ?!」
月下は今までにナイくらい、顔を赤くした。
「あ?なんでわかるかって?匂いだょ。匂い」
「匂い…?」
雅人は月下を椅子にすわらせた。
「処女じゃナイって事は兄貴と寝たんだろ?じゃぁ…全部知ってるんだな」
「…吸血鬼って事?」
「そう。俺も、そうだよ。」
雅人はいたずらっ子のように笑ってみせた。
「吸血鬼は血の匂いで処女かそうでないかわかるんだ。」
「じゃ…雅人クンはわかってたの…?」
月下が恥ずかしそうに聞いた。
「うん。わかってた。で、吸血鬼にとって処女の血程ウマいものはナイんだ。」
雅人は目をうっとりさせた。
「特に月下みたいに、血色のイイ子はすっごくウマいんだ!!」
雅人の目が、月下を捕らえた。
「ねェ…一回でイイから!血、吸わせて?」
雅人が月下に迫る。
「ぇ?!だって…あたしもう…おいしくナイんじゃ…」
手を握られ、月下は逃げられない。
「まずくはナイょ!!ただ一番ウマいのは、処女の血って事!!ね?イイでしょ?」
「ちょっ…」
雅人の口が月下の首筋に…
「オイ!!」 
「…水無月クン!!」
間一髪で月下は雅人から助けだされた。
「ちッ」
「ちッじゃね〜ょッ。月下は俺のだ。」
宏樹は月下を抱き寄せた。
「ゴメンね、峰島サン。さ、帰ろう。」
「う、うん」
「もう帰るの〜?」
雅人が甘えた声を出した。
「行こう。」
宏樹が部屋を出るように、月下に促した。
「また来てね、月下!!」
雅人は諦めず、笑顔で言った。笑顔の下に、吸血鬼の顔を隠して。
「バイバイ、雅人くん」
月下も宏樹に続いて部屋を出た。

「…。」
「…峰島サン?」
月下はさっきからずっと無言だった。
「峰島サンに戻ってる…」
「あッ…月下ッ」
それでも月下の機嫌は直らない。
「…雅人に…何か言われた?」
宏樹は月下に尋ねた。月下は宏樹を見つめ、逆に質問で返した。
「わたしが処女だから優しくしたの?血を吸うために…優しくしたの?」
「…全部話そう。…最後まで聞いて…ね」
月下は頷いた。
「体目当てじゃナイっていったら嘘になる。」
宏樹は自分の中にある思いを口にした。
(…やっぱり…そうなんだ…でも…)
月下は宏樹から目をそらさない。
(…ちゃんと…最後まで聞くって…)
宏樹は月下の手をとった。そして笑った。
「本当は俺に惚れさせて血をいただこうって思ってたんだケド…逆に惚れちゃった」
いたずらっ子ような宏樹の笑顔は、雅人にそっくりだった。
「お人好しで、涙もろくて、恐がりなのに吸血鬼を信じてる…そんな月下が好きッ」
宏樹は月下に微笑んだ。
「…吸血鬼だし、キス魔だし、血なっきゃ死ぬケド…俺はッ」
月下が宏樹の唇をふさぐ。
「…イイょ?吸血鬼でも、エロくても…そんなのイイょ。あたしの血ならいくらでもあげるッ」
月下は笑った。
「…宏樹ッあたしは…ありのままの宏樹がスキだょ!!」
「月下…」
「宏樹を受けとめるから…本当の宏樹を出してッ」 
宏樹は笑った。心から、月下にだけ見せる笑顔で。
「月下!!」
宏樹は月下を抱き締めた。
「…エッチしたぃ…」
「はッ?!」
宏樹は言った。
「…本当の俺だょ?」
「え…でもッ」
「さッ、ホテル行くよ!」
…月下と美少年でエッチな吸血鬼の物語は始まったばかりだ…


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