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上野家のある週末
【SF 官能小説】

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新たなる訪問者-3

正輝が、

「大丈夫かな?」
「好戦的な民族なんでしょ、ベガァ人て?」
「騙して、攻撃して来ないかな?」

と心配する。恵は正輝を見て微笑み、

「彼らは、非武装の船で少人数での武器を携帯せずに来る事を承知した。」
「途中まで、アルファの戦闘艦隊が迎えに行き船を徹底的にスキャンするから大丈夫よ。」
「それに、使節の代表は部族長とか。」
「戦闘になれば彼らは全滅する、二人の為に部族長を犠牲にしてまで戦う事は無いと思う。」

と話す。正輝が、

「部族長?」

と頭を傾げるので恵は、ベガァが地域と血縁で結ばれた部族制の民族であると説明した。地球の人種的言えば、白人も黒人も黄色人種も混ざっていて100を超える部族がある。その中の一つの部族長がやって来るのだ。部族長は、絶対的権限を持つらしい。


 正輝は一階で恵と一緒にベガァの使節を待っていた。一旦は自分の部屋で過ごしていたが、じっと待つのが耐えきれず一階に降りて来たのだった。落ち着かず、外を気にしながら居間を絶え間なくウロウロとしていた。

居間のソファに座り紅茶を飲んでいた恵が急に立ち上がり、真剣な表情で微かに頷いている。正輝はハッとして恵を見つめ、

(連絡が入ったぞ!)

と緊張する。恵は少しして正輝を見て、

「ベガァの使節が、もうすぐやって来るわ。」

と言うと立ち上がり裏口の方に向かった。正輝も後に続く。恵は二人のベガァ人達が入った収容ユニットの前辺りに立つと嵌めていたブレスレットを向ける。

収容ユニットは可視化されガレージ位の大きさの白い箱状の姿を現した。恵はブレスレットの嵌った両手を収容ユニットに向けると収容ユニットが1メートル程浮き、恵が移動するに連れて一緒に動いていく。

恵は収容ユニットを玄関の左側の空いたスペースに移動させると降ろして再びステルスモードにして見えなくした。正輝は、

(ここで引き渡すのかな?)
(裏口の所じゃ、洗濯物干してあるし様にならないからか?)

と少し可笑しい気持ちになった。恵が振り返り、

「来るわ。」
「念の為、私のすぐ後にいて。」
「ブレスレットの防御範囲だから。」

と正輝を見て話す。正輝は頷き唾を飲み込む。恵が数歩あるいて広い草地が広がる左側を向いた。正輝もその後に続く。10m程前の地面から数メートルの高さに突然、旅客機の搭乗口見たいな入り口が現れた。

すぐに階段状の物が自動で地表まで伸びると、入り口から黒い上下一体型潜水服の様なアルゥ達が着ていたスーツに似た物を着た白人が降りて来て、続いてやはり黒い同じスーツの黒人が降りる。

二人共優に2メールを超え肩幅も広く、アルゥ達よりも大きかった。スーツの胸には斜めに線らしき物が三本入りその上に文字らしき物が見える。

「何か胸に書いてある…」

と正輝が呟くと恵は振り返らずに、

「ベガァのエリート兵士よ、斜めのラインは位を表す。」
「三本線は最高位の兵士で文字は部族名が書いてあるわ。」

と説明した。二人は階段の左右に陣取ると入り口から、同じ一体型の赤いスーツを着て黒いマントを翻しアジア系の容貌の身長180cm位の白髪の男が降りてくる。胸には三本線がXの文字の様に交差していて、やはり文字が交差の上に書いてあった。

「部族長よ。」

と恵は教えてくれる。部族長は恵の方に進むと後ろに先に降りた兵士達が左右に従う。部族長は恵の数メートル前で止まると軽く会釈して、

「ベガァ、アゼ部族の族長ギレです。」

とアルファ語で名乗る。恵も会釈を返し、

「アルファのVel、こちらは正輝。」

と恵も名乗り、正輝を見て紹介した。正輝を見たギレが会釈して来たので正輝も慌てて返した。ギレは、

「あなた方に私の部族の者達が危害を加えた事、心からお詫びしたい。」

と言うと頭を下げ、後ろの兵士達も同様に頭を下げる。恵も頭を下げ、

「丁寧な謝罪、ありがとうございます。」
「幸いにして私も正輝も大事有りませんでした。」

と答える。ギレは頷き、

「今回の事は、ベガァの総長がアルファの本星に説明した通りベガァの総意に基づいておらず、我が部族の意志で行われた物でも無い事をご理解頂きたい。」
「不心得者はあの二人だけです。採掘した鉱物は元に戻しベガァの船や機材の回収の時間的猶予が欲しいのですが?」

と聞いて来たので恵は頷き了承を示した。ギレは後ろの白人を見ると白人は頷き左手に付けた腕時計見たいな物に話し掛ける。すると空間の入り口の上から、5m前後の物体の形が僅かに見える物が上昇していき再び透明になる。

(アルゥ達の船や採掘ユニットの回収に向かったのね。)
(アルファの偵察艦も続いた筈だわ。)

と恵は思った。ギレは、

「協定順守を約束します。」
「無論、この惑星はおろか、この恒星系一帯に近づかない事も。」

と言葉に力を込める。恵は頷き、

「分かりました、そう願います。」

と応じ、左手のブレスレットを左の方へ向け収容ユニットを可視化した。白い箱状の収容ユニットが現れる。恵が右手のブレスレットを収容ユニットに向けると一瞬で、収容ユニットが消えアルゥとグリィが横たわっていた。

恵は二人の方向に歩み寄り、小さな白い箱になった収容ユニットをすぐ後ろにいる正輝に手渡すと両手をアルゥとグリィの方へ向けた。すると二人の両手と両足首を固定している拘束器具が外れて移動し一瞬で恵の手の中に収まる。

恵は細い針金状の拘束器具をブレスレットに近づけると、拘束器具はブレスレットに吸収される様に見えなくなった。


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