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白い悪魔
【ファンタジー 官能小説】

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白い悪魔-9

死ぬほど痛くてわめいてしまいます。ナミの呪文の弾に撃たれたのです。
意地でも前はどきません。 「それでも平和になったじゃない。ナミだって、レイプが平然と行われる町のほうがいいの」離れたらこの子はナミの餌食です。
「どけ、それはまがいものの世界だ」
「いや、町の人は今を喜んでいる。この子ひとりで平和になったと思ってるの。この子は単なるきっかけ。殺したらナミはこの魔と同じ、悪へのきっかけになる」意地の張り合いでした。「この人がどういう気持ちで実のお兄さんを殺させたと思ってるの。全部が無駄になるんだよ」
人の心を持たないナミは冷酷にももう一度あたしを撃ちました。さすがにあたしも倒れてしまいます。
「やめて」小ナミがテーブルの陰へ逃げ込みました。小さな体が震えています。
ナミも本気で撃たなかったのは分かっています。そうでなかったら、魔も私も丸焦げになっていたでしょう。≪アッチ助けて≫
そしたら、アッチが来てくれました。そっと私を抱いて、「ナミ、待って」それから、「あなたもよく頑張りました」私を立たせます。
アッチがいてくれたら、ナミの衝動も抑えられるでしょう。
ほっとしたとたん、「お兄様を殺させたのね」テーブルナイフをつかんだ小ナミが青年に襲いかかりました。
「やめろっ」あたしが飛びつきます。
青年の腹にナイフが突き立ちます。
さらに刺そうとして、あたしの中にいる魔にびっくりします。あたしのエッチな所には魔の男根が詰まっているのです。小ナミの中の魔が、体からはじけ、飛びだしました。
魔は魔を嫌うのです。
そこをナミが撃ち殺しました。
真っ赤に燃えた魔が消え、ナイフが床に落ち、残ったのは中身のない小ナミの体です。
青年はその体をあたしからやさしくうばいかえして、抱きしめました。
「どけ、それにさわらないで」ナミが冷たく言います。 「それは私の身体よ、炎の中に返してもらうわ」
「この子の肉体は現実のものです。それを殺すというのは殺人です」 青年は離そうとしません。「作られても、その中に心があるなら、人間なのではないでしょうか。魔が繭の中で作ろうと、母の子宮で作られようと、同じように遺伝子から作られるのです」
ナミは動きませんでした。が、いつ爆発するかわからないのはよく知っています
「ナミに、生まれてすぐ生き別れになった双子がいたら、知らなかったからといって殺していいわけないでしょ」 あたしは刺激しすぎないように言います。
でも、アッチは小さく舌打ちをしてあたしを見た後、言ってしまいます。
「ナミ、作られ方が普通じゃなくても、それは生まれた子の責任ではないですね。あなたが一番知っているはずでしょ」
ナミの目には狂気が走っていました。「いったいいつ、受精した卵子は人となるの、いつ心を認められるの。 心をもらったピノッキオは、人なのか木くずなのか、私の姿をしたこれは、人なのか、肉片なのか。私と一緒にゴミ袋に入れられた方がいいのかもしれないわ」
「いやだ。お前には魔が殺せても、肉体を殺す権利がどこにある」青年は、腹を刺されても、かばいます。
「お前にそれを飼う権利がどこにある」
「権利はない、だけど幸せにする義務はある」
「中身がないのに幸せにできるというのか」
「世の中には人形をも本当に愛せる人がいるんだ」
きっとナミも自分自身を焼き捨てるなんてこと、できなかったのかもしれません。あたしならできません。


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