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白い悪魔
【ファンタジー 官能小説】

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白い悪魔-5

「消えた男を小さな女性がどうやって隠したのか、それも分からない」
あたしには、なぜ『ちょうだい』のひと言がないのかが、分かりません。
「変装の可能性もあるけど、どうせ魔の事、惑わすのは得意でしょう。
ここの人たちは、その女のことを、アイスドールと呼ぶようになった。そして傷を持つ人の中では白い悪魔、と。 それが魔の呼び名なのでしょう」
ふたつ目も終わりました。もう名探偵は廃業です。
‥いや、まだ負けません。あたしは不死鳥です。「じゃあ、そいつの居場所をさがそう」 皿の最後のひと切れを、ナミより先に奪います。
「そうね、行きましょう。過去のデータから割り出しました。ここが魔と召喚者の合流点ですよ」アッチがタウンマップの一角を指差します。
あたしの仕事は終わりました。
そこはたいして大きくもない家、低層ビルの隙間に立つ古い屋敷でした。
ナミはノックもせずに家の中に入っていきました。今度こそ警察に捕まるでしょう。
それでもどんどん奥に入って行きます。
部屋に、家の者だと思われる青年と。メイドがいました。 ≪おやっ≫あのメイドです。
真っ白な部屋には汚れひとつ、ちりひとつありませんでした。
細かいところまで磨き上げられています。
車いすに座る青年には両足と片腕の先がありませんでした。部屋の外にも、玄関先にも車いすが置いてありました。きっとその場所専用なのでしょう。
ナミがメイドを見て、即座に構えます。「死ね」
「やめてくれ」青年が叫びました。
ナミはやめません。「これは許せない、こんなもの」
メイドの頭が。赤く腫れ上がり。はじけ飛びました。いえ、頭は、黒くすすけていますが、あります。
膨れ上がったのはメイドの中に入っていた魔でした。 まあどっちにしてもメイドは倒れました。
≪間に合った?≫ 「大丈夫ですか?」 あたしは青年に近づきました。
「お前たちは何だ? この子をどうした」メイドは青年のひざもとから崩れ落ちました。
「ちょっと痛めつけただけよ。あなたのせいで殺せなかったわ」ナミが唸ります。
青年は息をのみます。「君は」 ナミの姿に見とれています。
まあ、素人は仕方ないのです。最初見た時は多くの人が見とれます。この人は蛇の申し子なのです。
そうでないのは、あたしのような極めた人間だけなのです。
「あの時、兄を待ってホームにいた時、白い肌に白銀の髪の毛そして青緑のひとみ」今にも抱き付きたそうにしています。
「命を救ってくれたのはあなたなんですね」
ナミは不安そうにしていました。
ナミは命を奪う方です、きっと何かの間違いなんでしょう。
「これが。魔だってわかっているの?」さすが、青年の言ってることなんか聞いていません。
「そんなこと、この町ではみんな何かの力にすがって生きているんだ」
「命だって吸い取られかねないのよ」
「うちの家系はずっとそうやってきたんだ。五十まで生きたものはいない。それが、メイドがいるせいだということもわかっている」
「じゃあ、どうしてそんなことを続けるの? せっかくたすかった命を」
「僕たちはそれでいいんだ。ずっとそうやってきている」 床に倒れたままのメイドの上にかぶさり、かばおうとしています。なのに触ろうとはしません、変なやつです。
「でも、こいつはギルド的に奴隷だな」ナミがさげすんだ声で言いました。


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