藁の匂いに惹かれて第2話-4
そんな店内でのやりとりの後、
ティファは2階の自分の寝室に戻り、着替えをはじめた。
特に目新しい“よそ行きの服"に着替えたということではない。
実際に着ていく服はいつもの黒のノースリーブだが、その下にあるブラジャーとショーツを“専用のもの"に履き替えたのだ。
「・・・・・」
最後にティファはいつも左腕に巻いているリボンをほどくと、
そのまま棚の中にしまった―――
―――着替えを終え、
意を決したかのような表情のまま部屋を出たティファ。
そのまま店内を抜け、店の外でバイクに跨がって待っていたウィンセントと合流した――――――――
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―――――ブウゥゥゥ・・・ン
2人を乗せたバイクは壊れかけた高速道路を一路郊外へ向けて爆進していく。
ウィンセントがハンドルを握り、
その背中に両手を回して身体を密着させるティファ。
(・・・・この匂い)
耳元で響く風切りの音を聞きながら、ティファはウィンセントの背中に密着した鼻先から“懐かしい香り"を嗅いだ。
(やっぱり、あの小屋の・・・藁の匂いだ・・・・)
今でも彼はあの小屋で起居しているのだろうか。
そんなことを心の中で考えつつ、
ティファは突如体の奥底から全身が熱くなっていくような感覚に襲われた。
それはウィンセントの体が発する藁の匂いが呼び覚ました“あの情景"のせいだとティファ自身が自覚している。
(ああ・・・・・・恥ずかしいけど、でも・・・・)
外では激しい雨が降る中、自然と身体を寄せ合い唇を重ね、
生まれたままの姿で身体を重ねた“あの情景"。