藁の匂いに惹かれて第2話-20
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――――――――それから数日後、
――――――――ミッドガル市街
――――――――キングスヘブン内
カウンターを挟んで朝食に手をつけているクラウドと、
洗い終わったばかりの食器を乾拭きするティファの姿があった。
「なあ、ティファ・・・・」
「ん?どうしたの、クラウド」
「いや、その・・・・・何て、言うか・・・ティファ、最近綺麗だなと」
「ふふ、どうしたの突然。お世辞のつもり?」
「い、いや違うんだ。・・・・何て言うか、最近ティファがぐっと女らしくなったというか、色っぽくなったというか・・・・昨日の夜だって、あんなに激しく・・・」
「バ、バカッ!!何言ってるのよ!!」
「す、すまない。でも本当に大人っぽくなったなと思って・・・」
「ふふ、ありがと。クラウドからそんな風に言ってもらえるなんて、明日は雨かな」
「じょ、冗談なんかじゃないからな」
「分かってる。分かってるよ、クラウド――――」
―――――――クラウドがいつもの運び屋稼業の為に店を出ていくのを見送った後、狙い澄ましたかのように店の電話が鳴る。
―――――ジリリリン、ジリリリン・・・
―――――ガチャッ・・・・
「はい、もしもし・・・・ウィンセント?」
『――――――――――』
「・・・うん・・・うん、分かった。その日なら店休みだし、クラウドもいないから・・・。
うん、じゃあ迎えに来てくれるの待ってるから・・・・・」
『――――――――――』
「うん、私も早く逢いたい・・・場所は彼処で・・・あの時よりも、可愛がってね・・・・それじゃあ」
――――――ガチャリ・・・
「・・・・・・・・」
無言で受話器を置いたティファ。
何を思い返しているのか、彼女の頬はほんのりと赤く染まり、
口許には何故か笑みが浮かぶ。
それは恋人クラウドすら見たことのないような、
1人の“大人の女"の笑顔だった―――――――
――――― 完 ――――――