藁の匂いに惹かれて第1話-7
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――――――プルルル・・・プルルル・・・プルルル・・・
「・・・・・・・」
これが何度目かの発信になるだろうか。
マリンは耳元にあてた受話器からティファの声が聞こえてくるのを待っていたが、
聞こえてくるのは断続的な発信音のみ。
店の外の雨は時間が経つにつれ一層激しさを見せている。
予定していた時間よりも帰宅が遅いティファ。
マリンはえもしれぬ心配に襲われ、専用の携帯に先程より呼び掛けているのだが―――――――――
(これじゃあティファも、クラウドのこと、とやかく言えないなぁ・・・・。)
そのクラウドも今は配達で留守。デンゼルは今日までバレットのところの手伝い。
だからマリンだけが店のお留守番。
(・・・・・・)
――――――――ピッ・・・・
マリンは諦めたように大きな溜め息をつくと携帯の発信ボタンをオフにした。
(・・・・ティファのことだから、大丈夫とは思うけど・・・・)
そう自分に言い聞かせつつも心の片隅に残る不安を気にしながら、マリンは激しく雨が降り注ぐ窓の外に目を向ける。
遠くの方からは 微かに雷の音が聞こえてくる。
どうやら雨は今日1日で収まりそうにはないようだった―――――――
―――――ゴロゴロゴロ・・・・・・・