藁の匂いに惹かれて第1話-10
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「―――――――――いやあっ、これはこれは・・・全くいきなりだな、これは・・・・・・」
そう言いながら 郵便配達人はひとりごちた。
郊外の配達が終わってこれからミッドガルに帰る途中の雷雨との遭遇。
慌てて自分の視線の片隅に入った道脇の廃屋までバイクを寄せたのである。
「しかし、久しぶりだな。ここまで降るのも・・・・」
廃屋の裏手の軒下から空を見上げつつ、彼はコートに張り付いた滴を軽く払った。
「・・・雨が収まるまで、少しこの中で休んでいくかな・・・・って、何だ?さっきのは・・・女の声、か・・・・・?」
パラパラと雨が軒に当たる音を背に受けつつも、郵便配達人は自分の耳に微かに響いた声に引き寄せられるかのように建物の壁沿いに歩を進めていく。
やがて彼の前に古びた窓が視界に入った。
内から鍵がかかっているようだったが、古く錆び付いているせいもあって 枠のあちこちに隙間が出来ている。
どうやら彼が聞いた女性の声はこの中から聞こえてきたようだった。
彼は恐る恐るその隙間に顔を近づけ、薄暗い中の様子を伺った。
『・・・あっあんっっ・・あっ・・ァアッ・・・・ンンっ・・・・』
「・・・・!!!」
彼の目に映ったのは干し草の山と、
そこで窓に向かって正面を向く、黒髪の女性の裸体だった。
室内が薄暗いせいで顔の輪郭等は判然としないが、長い髪・白く光る肌と豊かな乳房はぼんやりと見える。
そしてその体がゆっくりと上下に動き、その実りある二つの乳房もそれに合わせて、揺れ波打っている。
その豊かな乳房は、それを見る男を誘い惑わせるには十分だった。
配達人は自分は幻覚を見ているのかと一瞬戸惑い、慌てて目を擦った。だがそれは紛れもない現実である。
改めて目を凝らせば、その女性の真後ろに 同じく長髪の人物――女性と間違いかけたが――、若い男がぴったりと寄り添っていた。
背後から伸びる手が女の乳房をゆっくりと指が沈み込むまで揉みしだき、その舌が首筋をゆっくりと舐める。
二人の動きから判断するに
あぐらをかいた男の上に女が腰を下ろしているといったところか。
勿論、二人の下腹部はしっかりと“繋がっている"のだろうが。