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花狂い
【OL/お姉さん 官能小説】

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事故-1

5階で山辺と絵の展示を相談し検討している時
道畑夫人がエスカレーターで上がって来るのが見えた、
何時もなら久保山が付き従って居るはずが一人上がって来る
高島は6階に向かう道畑夫人に声を掛け6階へと向った、
6階で加藤が道畑夫人を見るが頭を下げ売り場に去って行った
高島は7階のVIPルームに案内して夫人は入口で躊躇し

「今日はこのカードお返しに来たの」
とバッグからVIP専用に発行されたカードを出した
高島は売り場に居る女子従業員に道畑夫人の好きな紅茶を出すよう指示して
夫人を部屋へと案内した、席に座り出された紅茶を飲みながら夫人は溜息を付いた、

「美味しいお紅茶よねもう飲めないと思ってたの有難う高島さん、」
聞くと1階で久保山に逢ったがカードを返しに来たと聞くと
7階に持って行って高島に渡せと言われたと、諦めの籠った声で言った
夫人が話した
長男が仕事を引き継ぎ新しい事業を打ち出し多額の金が騙し取られ
会社に古くから働いた従業員が辞めて行き、
気が付いたときは遅かったと会社は古い従業員がライバル会社に
身を寄せていた為事業は引き継いでくれると
多額の借金が残されたが持っていた資産を売却し僅かだが残り
長男は事件の後行方は判らない、
そんな時次男から連絡が有り住む処は有るから来いと
言われそちらに行く事にしたと、
話が終わると部屋を見回しここ楽しかったわと懐かしそうに見回し
カードをテーブルに置き席を立った
高島は夫人と1階まで同伴し入口を出て夫人がタクシーに乗るまで
高島は頭を下げていた、
頭を下げる高島を見る人物がいることを高島は知らなかった
遥の絵がニューヨークで高い評価を受け個展が大成功に終わった事が
ニュースで流れると遥のドキュメントを公共放送が特集しTVで流され

恵がSNSで遥の絵を扱ってると流したことが瞬く間に拡散し
山辺の許に連日問い合わせが来るように成り、
5階から7階階段踊り場に遥の絵が飾られ毎日の様に売れて行く、

遥の母親から山辺に電話が入り通帳に多額のお金が振り込まれているがと
問い合わされ遥の絵の代金と聞き母親は受話器を降ろした時涙ぐんでいた、

古い機械を持って帰って居た手島が課長と持ってきた
見てみると新品の様に輝いていて、階段の踊り場に一つずつ展示をすると
話題と成り見学するお客様が増え僅かだが売り上げにもつながった、
冬物の販売が本格的に成り公園の緑が薄く成り葉が色を変え始めたころ
お得意様への届と挨拶を終え店に戻ろう走らせていると
前の車がふらりと動き側溝を20メーター程走って止まった
高島は車を後ろに止め事故を起こした車に駆け寄り助手席の窓から声を掛け
40代位の夫人がハンドルに頭を乗せている
助手席のドアには鍵がかかっており運転席のドアを開けようとしたが
やはり鍵がかかっていて運転席の窓を叩くと夫人が頭を上げドアのカギを外した、

ドアを開け大丈夫ですかと声を掛け
意識が戻らないのか焦点の定まらない目をしていた、
高島は救急に電話して場所を伝え、
夫人のシートベルトを外し体を楽にさせ連絡先を聞いた
救急車が到着し夫人と話をし救急が電話を掛け夫人を乗せ去って行った、
高島は聞いた連絡先に電話を入れると家政婦だと名乗りご主人が手配してるので
車はそのままで良いと言われ店に戻った、

翌日久保山が一人の夫人とエスカレーターを上がって来て
高島に憮然と田処の奥様と知り合いかと尋ねて来る

見ると昨日の夫人だった、
高島が頭を下げ大丈夫でしたかと声を掛けると夫人は持って来た
菓子折りを差し出し昨日の礼を言ってきた

久保山は会話を聞くと黙って降りて行った、
夫人をVIPルームに案内をし話を聞くと運転中に意識を失ったらしい
運転前に飲んだ風邪薬が原因かなと笑顔で答え
夫人は持って来た菓子折りを高島の断りを遮り席を立ち
帰って行った従業員に聞くとこの店で上得意のお客様の一人と教えてくれ、
久保山の憮然とした言葉が高島にも理解出来た

久保山は事有る毎に高島の話を従業員に話している
恵も七恵も由紀菜も同じ事を教え
高島は無視に決め込み相手にしなかった

次の週一人の老人が田処夫人と連れだって8階のギャラリーに立ち寄り
高島が呼ばれ、行くと老人は遥の絵を見ながら他には無いかと尋ねていた
老人の後ろに婦人は立ち絵を鑑賞していた、
高島が近付くと老人が高島に握手を求め手を合わせていると
家内がお世話に成ったと言いお礼がしたいから
食事に来てくれと言われ大した事で無いですからと高島が謝辞を続け
山辺が高島に行きなさいと声を掛けられ承諾した、

次週高島の休みの前に
ご自宅を訪問すると約束をすると山辺に遥の他の絵も見たいと
やはり自宅に何枚か持ってくるよう言われ山辺と同伴と成った

約束の日山辺は4枚の絵を抱え田処邸を訊ね
広いリビングに通され山辺が絵を広げる主人が迷わず二枚の絵を購入し
食事が始まり山辺と主人が絵画の話を始める高島と夫人はただ聞いているだけだった、

山辺が時折夫人を見る山辺の目の中に鈍い光を高島は感じていた


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