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インクブス・ゲーム 
【ファンタジー 官能小説】

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インクブス・ゲーム-2

これをエリ城の観光パンフレットに入れる予定だったのだが、今はもう俺のコレクションになるだけだ。
写真は俺が撮る。それも楽しみだった。
テレビの撮影で通った所をもう一度なぞるように撮影をすることになっている。付き添いにはマネージャーとメイク係の女性。
メイク嬢のアミを見る目つきが妙だ。 ≪この目は知ってるぞ≫ うれしくなる。
「メイクさん、よろしくね」肩にやさしく触れる。おれは昼間に誰かを口説くなんて苦手なのだが、これくらいなら、やればできる。
アミより先に声をかけられたメイク嬢はビクッっとして、取り繕うように「よろしくお願いします」満面の笑みだ。
今の反応で俺の心は震えあがった。 ≪なぜとろけるような目で見てこない。だめかもしれない≫ 『あなたは蛾』やつのあざけりが脳裏にこだます。≪やるのか、逃げ出すのか≫
勇気を振り絞って、女の目をじっと見つめて、「偉そうに言っていてもあの子はまだ子どもです。あなたの仕事ぶりは、すばらしい。さすがですね」
この女の中には、午前中の撮影の中で小娘に下働きの雑用係のように扱われた不満がくすぶっている。
「そうですか」
嬉しそうなメイク嬢の手を取って、「こんな繊細な指から美が生まれるんですね。 今日はお願いしますね」 少し強く握った。
≪限界だ≫ カメラに持ち替えて、握り締め、目をそむけた。
壁際のマネージャーは撮影に立ち止まるごとに、目をつぶって、つらそうにしている。
「申し訳ありません。出発が早かったので‥」
「どうか客室でお休みください。この子はもうしばらくお預かりします」
「いい?」アミへ視線を向ける。
「私は大丈夫よ。あの人もいるし、後でまた運転してもらうんだから。寝といて」撮影にも慣れてきて軽く言う。
「そうです、事故でも起こしたら大変だ」礼拝堂の横の客室に案内した。
その後三人で奥の庭へ上がった。
「この奥庭は」手を広げて紹介する。 「昔はここも部屋でした。それを中世に、北西の守りを固めるために壁を壊したんです。おかげでこんなに明るくなりました」 ≪こんな明るいところでおれは何をしてるんだ≫
南側にはこの城の天守閣ともいえる塔がそびえている。塔を見上げて空を背景に何枚か撮影していった。
アミはクルッと回って、スカートを広げると、それは、太陽に向かって飛んでいるように見える。
≪いや、俺は蛾じゃない、明るくても問題はないんだ≫ 「とてもいいね」 白い下着が見えた。
「下、見えちゃいました?」アミが笑いながら言う。
「ええ、まあ」
決断したとはいえ、太陽の元、まぶしい白は苦手だと思い知らされる。 『あなたは蛾』あざけりが脳裏にこだまする。
「これ、見せパンっていうやつ。下にもう一枚はいてるからいいですけど、出さないでね。事務所的に駄目ですから」
「ああ、そんなことはしないよ」
≪そんな変なパンツなんかを撮る気はない≫ だが、小娘がどうにもまぶしくて仕方がない。
≪さあ、どういう風にしてやろう。陽のもとにその肌のすべてをさらさせるんだ≫ 目が開けていられなくなってくる。
光を反射するすべてがまぶしくて、それでも見ようとすると、痛みに涙がとまらなくなってくる。
「ここはやめよう」あわてて日陰へ入った。
それでも目はもとに戻らない。動悸が早くなってきた。
『あなたは蛾』また、あざけりが脳裏にこだます。≪俺は蛾‥≫
下へ向かった。  暗闇へ。


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