焦らされた身体への痴漢-2
タイミングが悪かった。
ーー昨日、金治が中途半端に体を愛撫したせいで、真由美の体は卑劣な行為に反応してしまったらしい。
(やめて…。気持ち悪いのに…)
骨盤の辺りを撫でていた手は、臀部の右側に触れる。
いよいよ、男の手は大胆になっていく。
ただ撫でるように触れていたその手は、ぎゅっ、ぎゅっ、と臀部の感覚を楽しむように、力強く揉み出したのだ。
真由美の体は小刻みに震える。
ガタン!と電車が大きく揺れた。
そのとき男は左手で真由美の腹を後ろから抱えるようにして、股間を押し付けてきた。
(…! かたく…なってる…。やめてよ…!)
真由美は体を縮こませることしかできなかった。
真由美が目を開けると、男も右手で、真由美が握っている手すりを握っている。
そして右手の親指を回すようにして動かし、さも手すりを握っているように見せかけて、真由美の胸のあたりに触れてきたのだった。
真由美は、ショーツをとろとろと溢れ出す体液で汚していくのがわかった。
むっちりとした真由美の臀部に股間を押し付けている男は、はぁはぁと荒い吐息を吐き出している。
(何で…あたしなの…?!)
真由美が途中下車しようとすれば、男に腕を引っ張られ、それを制された。
何度も何度も執拗に体を触られ、おかしくなってしまいそうだったが、途中下車すらも許されない。
だが、真由美が降りるべき、会社の最寄り駅に着いた時にはすんなり解放されたのだ。
そのことを不思議に思いつつも、会社まで足早に、逃げるように歩いた。
まさに駐車場に着きそうなとき。
「お姉さんっ…」
真由美は後ろに腕を引っ張られた。
いきなりのことに振り向くと、自分より十歳ほど若いであろう、男が立っている。
茶色の髪に、両耳にシルバーのフープピアスをつけ、白いTシャツにグレーのジョガーパンツ姿。
汗だくで、はぁはぁと肩で息をしている。
「お姉さん、ごめんなさい…俺…」
そう言われても、真由美は彼が誰だかわからなかった。
「さっきの…俺なんです、ごめんなさい」
「さっきの…」とは車内での卑劣な行為だろうか。
「この電車に乗ってるってことは…会社の駅で降りると思ったから…俺…。電車で見つけて我慢できませんでした」
馬鹿正直に何故そんな卑劣な行為について、彼は謝るのだろうか。
しかし、何故、真由美の会社の最寄り駅を知っているのかーーー