満たされる身体-6
「んっ、んんっ…佐田くん、そんなふうに…あっ…」
焦らされて、真由美は思わず腰を動かすが、手の甲だけでは刺激が足りない。
金治の手の甲には熱い感触が伝わってくる。
左手で真由美の体を抱きとめ、右手で真由美の体を焦らし、身をよじらせるのをじっと見つめていた。
「これの方がいいですか?」
「んっ、あっ…」
金治は右手の手の向きを変えて、中指の指先をクロッチの辺りに軽く押し付ける。
「あっ、佐田く…ん」
つるつるとしたショーツの生地が、ぬるぬるとした感触に変わるのがわかった。
「あ、ずるい…そんな触り方…」
少し押し付けて、軽く擦るだけの触り方。
それでもショーツにはシミができてしまう。
「したいように、してって言ってるのに…いじわる…」
真由美をじっと見つめる金治の瞳を、真由美はうるんだ瞳で見つめ返す。
そして自分から金治の体を引き寄せて唇を押し当てると、真由美も負けじとハーフパンツ越しに金治のモノに触れる。
「佐田くんだってこんなになってるのに。いじわるしないで」
真由美は金治の熱くなっている首筋にキスを落とし、さらには舌を這わせる。
ちゅ…ちゅ…とキスをする音が金治の耳に何度も聞こえてくる。
「いつも俺が一方的だって思っちゃうから…」
金治は我慢ができず、真由美のショーツの中に手を忍び込ませる。
たっぷりと焦らしたせいで、そこからは蜜のような体液が溢れ出していた。
真由美は脚を開いて、秘部へと金治の指を誘導する。
「掻き回して」
金治の首筋から耳元へと真由美は唇を這わせ、耳元でそう囁いた。
ずくん、と金治の股間に熱が集中すると同時に、ぐぷぐぷ…っと音を立てて、真由美の中へ指が差し込まれる。
「んっ…んん…」
真由美は金治の耳元で甘美な吐息を漏らしながら、金治のシャツの裾をぎゅっと掴む。
(ヤキモチ妬いたってはじめから、こんな関係でしかいられないことはわかってるのに)
セックスすればするほど、もっともっと欲しくなっていく。体だけでなく心までーー
長年好きだという気持ちさえ秘めていたはずなのに。
金治が一方的だと思っているのは体のことばかりではなく、心の問題だった。
今日の一方的な行為に対して、真由美は「後輩があたしのせいで嫌な思いしたならフォローするのは当然でしょう」と言った。
真由美にとって金治は、大事な存在であり、フォローしなくてはならない相手ではあれど、たかだか後輩の中でヒエラルキーの上位にいる程度の存在なのだと確信したからだった。
真由美の気持ちはおそらく、二度目に体を重ねて、無理やり犯したことを「仕切り直し」した日からずっと今まで変わっていないのだろう。
「佐田くん…んん…、そんな優しくされたらもどかしいよ…」
「「後輩」にこんなことされて、そんなおねだりしちゃうんですか?時任先輩」
思わず、金治の気持ちが吐露するような物言いをしてしまう。
「会社で後輩にエロいことさせてもいいと思ってるなんて、みんなに言いふらしちゃいましょうか?」