寂しい身体-5
この状況に、優希は明らかに戸惑っていた。
真由美の香りが、飲んでいる時よりもさらに近い距離で鼻につく。
ホテルまでは、確かにあっという間だった。
ホテルの隣にあるコンビニで数本、缶チューハイを真由美に買ってもらい、優希はチェックインを済ませる。
真由美は、なんの躊躇いもなく優希に着いてきた。
(ーーど、どういう気なんだろう…)
部屋に入ると、ダブルベッドに、部屋の隅にひとりがけ用のソファーが二つ、並んでいる。
優希は真由美の方に顔を向けることができないまま、大きな荷物をベッドサイドに置いて、ソファーに座った。
真由美も、優希が腰掛けた右隣に並んでいるもう一つのソファーに座る。
「乾杯しますか」
真由美はクスッと笑って、コンビニの袋から缶チューハイを取り出す。
「す、すみません。買って貰っちゃって」
「ううん、いいんです。ホルモンたくさん食べちゃったし」
二人は缶チューハイのプルトップを開けて、缶をかちん、と鳴らす。
「今日は、橋口さん、本当にありがとうございます。さっき橋口さんが言ってたみたいに、大人しいかただから。誘ってもらえるとは思わなかった。
ーーだから、お礼をしようかなと思ったんですけど」
真由美は自らの右手を、優希の右の太ももに乗せた。
ゆっくりと、その手を内腿へと滑らせていく。
「あたし、断れないような状況にしてますか…?それなら、ハラスメントになっちゃう」
その手は、優希の股間へと到達する。
「嫌ならやめます…」
「あ、いや…嫌とかではなくて…。でも、僕、そんなつもりなくて…」
「本当に?
いつも作業着で帰っちゃうのに、今日着替えてるじゃないですか。着替えまで持ってきて…あたしが来るの知ってたから、勇気出して食事に誘ってくれたんでしょう…?」
真由美の顔が、ゆっくりと優希の顔に近づいてくる。
「寂しい?って聞いてきたの橋口さんですよ。ずるいです」
「え、いや…でも」
「あたしが寂しいの、内緒にしててくれますか?」
優希の股間に添えていた手で、ゆっくりと優希のTシャツをたくしあげて行く。
親指を添わせて、優希の乳首に到達すると、きゅっとそこを摘む。
「な、内緒には…しますけど…。でも、旦那さんに悪いです…。僕、今日…本当にご飯行けただけで…嬉しかったんです」
優希は優しい。
まるで、金治みたいだと真由美は思った。
切なそうな顔をして、本当は真由美に襲いかかりたいだろうに、ぐっと堪えているのが真由美にはわかった。
真由美は自分の腰掛けているソファから降りて、優希の座っているソファーに片膝を乗せる。
「あっ…」
優希のTシャツを厚い胸がはだけるほどにたくしあげて、左の乳首に吸い付いた。
「そ、そんなことされたら…」
「そんなことされたら…橋口さん、どうなるんですか…?」
真由美はぺろぺろと舐め上げながら、ソファーに乗せている片膝を、どんどん股間へと押し付けていく。
「あ、あ…時任さん…」
優希はとうとう、堪えきれず真由美の体を抱きしめた。
自ら、真由美を求めてしまった。