先輩への止まらない欲望-1
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「はぁ…」
真由美は、以前オナニーしていたトイレとは異なる、普段みんなが使用するエレベーターや、更衣室がある側のトイレにいた。
自らの体液で汚れた手を洗いながら、ため息をつく。
そんな時、外から朝美と金治の笑い声が聞こえた。
金治がエレベーターまで、携帯電話を取りに来た朝美を送っているのだろう。
(バレ…なかったよね…?)
まだ胸がドキドキしていた。
以前、朝美が寝ている横で金治とセックスしたとはいえ、さすがにここは会社でーー
「先輩?」
ハンカチで手をふいたとき、トイレの入口の方から声が聞こえてきた。
「佐田くん?どうしたの?」
入口まで歩み寄ると、ドアがない開放された女子トイレの入口で少し照れている金治がいた。
「田中さん…帰りました。さっきエレベーターまで送って」
「うん、声したの聞こえたよ。帰る準備しようか。遅くなっちゃったし、何か買って家でゆっくり食べよ」
そう言って真由美がトイレから出ようとすると、金治が入口に立ち塞がる。
「ーー俺…」
金治は一歩踏み入り、真由美の体を抱きしめた。
「ーー俺に無理やりされるところ想像して…オナニーしてるなんて言われたら、我慢できない…」
「あっ」
手を引っ張られ、真由美は個室に押し込まれる。
真由美から見える金治の顔は、眉間にシワを寄せ、とても切なそうだった。
「やりたい…ダメ…?」
敬語など使わず、率直に金治は気持ちを伝え、真由美の体を壁に押し付けると真由美の耳元にキスをする。
恐怖心などはない。むしろ、胸が高鳴っている。
真由美のこの胸の高鳴りは、明らかに先日の警備員に対する恐怖心とは異なるものだ。
同じことを言われ、同じ状況だとしても…
真由美はやはりこの男に抱かれたいと思うのだった。
「…我慢できないなんて…そんな言い方されて断るわけないでしょう…?」
「俺、だめですね…。ひどいこと、頭ん中で考えてるってわかってるのに…」
「ひどいこと…?」
先程真由美が留め直したボタンを再び、金治は外していく。
「警備員の男が無理やりしたみたいに俺も…先輩のことそうしたいって…思っちゃってます…。きっと、先輩が乱暴されたいって思ってる以上のこと…。俺、先輩が思ってるような優しい男じゃないですよ」
「でも、しないじゃない。小菅くんのときだって、そんな風にしなかったでしょう?」
その言葉を聞いて金治は、真由美の体を抱きしめる。