犯される先輩を想像して-1
「ーーー巡回、戻った方がいいんじゃないですか」
射精したのち、立ち尽くしていた男を前に真由美は、冷静に言い放った。
真由美は口の周りをトイレットペーパーで拭き、衣服を整えると、まだ下半身を露出させて呆然としている男をそのままに個室を出た。
「そのままでいると不審者扱いされますよ」
手を洗い、そう言い放ってトイレを出る。
ーー真由美は仕事をする気になれず、その日の午後から翌日まるまる、有給の申請を願い出た。
泣き腫らした顔を見られて、同僚や、朝美や金治たちにどう思われただろう。
(挿入されなかっただけ、マシか…)
真由美は車の中で泣きながら家路へと急いだ。
早くシャワーを浴びて、眠ってしまいたかった。
**********
ピンポーン……
チャイムの音で、自宅のベッドで真由美は目を覚ました。
乱暴に扱われたせいで体がだるかったが、何とか起き上がる。
枕元に置いてあるスマートフォンを確認すると、二十時を回っていた。
真由美の家のインターホンは、モニターがついている。
リビングにあるモニターで確認すると、そこには金治が立っていた。
「今、開けます…」
キャミソールに、白のホットパンツ姿の真由美は、ソファーにかけてあるパンツとお揃いのパーカーを羽織ると、ドアへと向かった。
ドアを開けると、スーツ姿の金治が立っている。
「どうしたの。連絡も寄越さずに。急に来られるのはさすがに困る」
真由美は髪をかきあげながら、面倒くさそうな態度で金治に問いただす。
「あ、あの…すみません…。今日やっぱり体調悪かったんだなと思って…。ゼリーとか飲み物とか買ってきたんですが」
「ああ……ごめん。心配してくれたのに、今の態度悪かったよね。せっかく来てくれたからコーヒーくらいいれる。上がって」
今は金治に会いたくなかった。そんな態度が出てしまった。だが、同時に心配してくれたことに嬉しく思う。
金治からドリンクなどの入ったビニール袋を受け取ると、金治をソファーに座らせる。
電気ケトルでお湯を沸かしている間、真由美は洗面所へと向かった。
洗面台に置いてあるクリップで髪をハーフアップにまとめあげ、マウスウオッシュで口をゆすぐ。
鏡に写った自分の姿を見て、
「うわ…ちょーブス…」
と呟いた。
泣きすぎた目は腫れぼったく、顔は浮腫んでいる。