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『真夏の遊戯』
【学園物 官能小説】

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『真夏の遊戯 side:B』-5

葵だって、変わってないとこあるじゃん…。
ただほんとに…、俺だってビックリしてんだ。
なんでこんな抱きしめたいって思ってんのか。
こんなこと、今の今まで思った事ないんだ。ずっと幼馴染だって思ってたから。
「ヘンなの、あたし。さっき神楽ちゃんが慰めてくれたとき、神楽ちゃんの変わってないトコ見つけて安心したの。それまでは触れるの怖かったのに」
意識したわけではないのに、葵の手を繋いでいた。
葵の手も…、自然に動いていたと思う。
「ほら、全然怖くない。あたし…、今までバカみたい。なんで逃げてたのかな」
繋いだ手を俺に見せるようにあげた。
「それでも三年…、あたしが殻に閉じこもってた間に、神楽ちゃんはすごく変わってたんだね。もし、あんなことが無かったらこんな違和感なんて感じなかったのに」
「今から埋めればいい」
「神楽ちゃん…」
今度は優しく抱いた。
繋いだ手を絡めたまま。
頬と頬が触れてお互いの体温を確かめあう。
愛おしさが、こみ上げてくる。
今までになかった新たな感情が―。
どのくらいそうしていたか。
「神楽ちゃん、あたしもう一歩踏み出す勇気が欲しい…」
長い沈黙を破って葵が小さく言った。
「俺が出来ることならなんでも手助けする」
「一つだけいい?神楽ちゃんとじゃなきゃ…、できないこと」
「なんだ?」
俺の腕をほどいた。
そしてTシャツを脱ぐ。
「おい!何してんだよ!」
しかし制する俺の言葉にはなにも答えず葵は一糸纏わぬ姿になった。
「教えてほしいの。男の人が、ううん、神楽ちゃんは恐くないってこと…」
月の光りを浴びた葵の肢体はどこか幻想的だ。思わず見とれそうになるくらい…。
い、いかん。
「お前…、自分が何してるかわかってんのか…」
葵はコクンと頷くと、恥ずかしそうな顔をしながらも、座り込んで動けなくなっている俺にのしかかった。
葵の体重が伝わると、それは急に現実味を帯びたように色づき出す。
「ずっと…神楽ちゃんと話したかった。だってあんなにいつも側にいたのに…。でも恐かった。神楽ちゃんのこと誰よりも解ってるのに…」
俺を抱く手に力が入る。
だけど、俺は葵の身体に気持ちが入らないようにするために必死だった。
男の欲望が目覚めてしまわないように。
「あたし…、あの時だって神楽ちゃんに助けてもらったのにお礼も言えないまま…」
「いんだよ…。お前を守るのは当たり前のことだから」
昔からずっとそうだったんだ。今だってその気持ちは変わらない。葵を傷つける奴は許さない。
「お前は大事な…妹みたいなもんだし…」
葵はつ…と身体を起こして俺を見た。
「あたしもね、ずっと神楽ちゃんのことお兄ちゃんみたいな存在だと思ってた。でもそれじゃいやなの。もっと近くにいたいんだよ」
「もっと近くって…。だって今だって大事に思ってんだぜ?」
葵は首を振る。
「妹じゃ…ずっと側にはいれないよ…」
そしてゆっくりと顔を近づける。
唇が触れた―。
柔らかさはあの時と変わってはいない。
だけど違うのは…、この柔らかさがどうしてこんなにも艶めかしいと思うのか…。
唇を離すと、葵は俺の肩に顔を乗せた。
「妹は…いや」
苦しそうに呟く声と吐息が耳に伝わると、俺の気持ちはたちまち熱を帯びてきた。
「俺だって…、わかんねーんだよ…。お前を抱きたい気持ちが幼なじみとしてなのか、男としてなのか…」
生半可な気持ちで葵には触れたくない。
「葵だって変わったよ…。女の身体になった。すごくドキドキしてンだ。昔は感じなかった女らしさが魅力的に思えて…」
「神楽ちゃん…」
「でもお前を傷つけるような感情や欲望で…、お前を抱きたくないんだ…。たった一人の女として…特別な感情でお前を見たい…」
気持ちを吐露すると少し楽になった気がする。
「あたしも…神楽ちゃんのこと、傷を乗り越えるための手段にしたくない。神楽ちゃんだから抱いてほしいよ…」
葵が深呼吸するのがわかった。
「…すき」
俺の頑なな気持ちがみるみるうちにとけて、それは葵の気持ちと混ざり合った、気がした…。
「あお…いっ…」
夢中で抱く。
耳元で葵の息が漏れると抱く力を緩めた。
「ごめん…。加減知らずだな」
「そんなの…、昔から知ってるよ?」
すぐ近くで葵の笑顔が咲いた。
俺は今更ながら胸の高鳴りを意識してかたくなってしまった。


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