片思いを暴かれて-5
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行為が終わったあと、秀次は何事もなかったかのように帰っていき、金治と真由美の二人が部屋に残った。
金治は動くことができなかったのだ。ソファの前でだらしなく下半身を露出させて、下を向いて正座していた。
どれくらい時間が経っただろうか。
ーー先に沈黙を破ったのは、ソファで横たわっている真由美だった。
「これ、自分で洗いたくないから、シャワー一緒に浴びてくれる?」
「え…」
真由美の体は二人分の精液にまみれていた。
とにかく金治は言われた通りバスルームへ向かい、真由美の体をシャワーで流した。
金治の体はほとんど濡れたままの状態で、手に数枚の千円札を握らされて外に追い出された。
どうやって家までたどり着いたのか、ほとんど記憶が無い。
日曜日は泥のように眠って過ごした。
月曜日は何とか出社すると、真由美と秀次は会社に現れなかった。仕事が手につかなかった。
火曜日には、真由美は出社していた。何故、秀次は現れないのか。そう思いながらも金治は秀次に連絡することが出来ないでいた。
朝礼が終わったあと、金治の後ろから何も知らない朝美がとんとんの肩を叩く。
「ねえ、昨日小菅くん休んでたじゃない。仕事のことで用事あったから、社用の携帯に電話したら携帯使われてないことになってたんだけど…何か知ってる?」
「えっ…いや、俺も連絡してなくて…わからない」
「ーー小菅くんなら、Sに出向だから」
突然、そう言ったのは真由美だった。
「えっ、そうなんですか?何で急に?!引き抜き?」
朝美が真由美に問いただす。
「あたしも詳しいことはわからないの。Sと言っても地方みたいなんだけど。急に決まったから日曜と月曜で引越しの準備してたみたいよ。だから社用携帯も解約したんじゃない?」
真由美がそう言いながら、チラッと金治に視線を送る。
(ーー地方へ…出向…このタイミングで…)
「えー、小菅くん出世だぁ」
金治の背中に冷たい汗が一筋流れた。
何か圧力がかかったのか。とはいえ、真由美は一介の社員だ。本人に直接なにかできるわけではないだろう。
だが、その視線の意味はそういうことなのだろう、金治はそう思わざるをえなかった。