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よだかの星に微笑みを(第二部)
【SF 官能小説】

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接触(二)-2

目を覚ましたのは四時過ぎだった。アンカは寝返りも打たずに眠っている。
「うわ、なんか、いい。」
体操選手の胸に俺は感動した。肋骨が前後に厚く、胸筋の上に硬い小ぶりの乳房。胸から腕の筋肉も浮き出ている。腋の下には剃り跡が黒ずんで見えた。そこを嗅ぐとまた俺は興奮して、勢いよく差し込んだ。
「ああん」
アンカが目を覚ました。
「弘前君、まだ終わらないの? あ、気持ちいい。あ」
「うわ!」
俺たちは変身した。
アンカは気絶した。
七時になった。汗に濡れたアンカの陰毛が、部屋中に新しくにおいを放っていた。
俺は差し込んだ。
「もう許して!」
俺たちは変身した。
アンカは気絶した。
十時になった。チェックアウトの時間だ。腰が立たない。俺は意志を奮い立たせてフロントに電話をした。
「もう一泊、お願いします。」
俺はアンカに差し込んだ。

「お前、この二日間、どこ行っとったん?」
「女子大生と遊んでた。」
「子供からお年寄りまでだったのか。現代版色好みなんじゃねえの?」
「そんなつもりは毛頭無いけど、なんか、外国人に当たるな。」
「なんや、またかいな。伊月、外国人やと。」
「俺はもう彼女がいるからいいんだよ。」
「ついに渡部、お前だけになったぞ。」
「俺の伴侶は学問やからな。硬派でないとあかん。」
「痩せ我慢に聞こえるぞ。」
「荘子にな、塗中に尾を曳くっちゅう話あるの、知っとるやろ。あれや、あれ。」
「どれだよ。」
「決まった女なんかいたら、不自由やんか。せやから、やりたい時だけできる環境を選ぶ。」
「女はセックスだけの対象か。まあ、俺もひいなとセックスしかしてないようなもんだけどよ。」
「俺は何となく渡部の言うことが分かる立場に今ある。あーあ、どうするかな。」
「中学生と大学生の二股なんかするからだ。嫉妬で殺されるぞ。」
アンカには、付き合ってる子が俺にいることを伝えた。それでもなお、俺はアンカに言い寄られていたのだった。

「ここにあたしの名前、彫りつけておきたい。」
初めて見たという男の性器から、アンカはなかなか口を離さなかった。腫れた睾丸を呑み込むように愛撫して
「あたし、組織とかより弘前君が大事。組織のこと教えてあげてもいい。」
「面倒になるから嫌だよ。そう言えば、アンカは動物嫌いなの?」
「別に。でも、動物実験反対とか、イルカ漁反対とか簡単に言う人、嫌い。」
「俺もそうだったら?」
「好き!」
湿った肛門にキスする俺に、アンカは即答した。

「女って、理屈で動かない生き物だよな。困ったな。」
「お前もそうだろうが。」
「頭じゃ分かってるんだけど、こうなっちゃったんだよ。女はそもそも論理を無視するだろ?」
「まあ、俺たちにはどうもできんわ。ええ文学のネタなんちゃう? 恋やからな。」
「やっぱ渡部が正しい気がしてきた。」
「贅沢なんだよ、お前は。俺はひいな一筋だ。」
「昔から、恋愛は上手くいかんものと文学では相場が決まっとる。伊月も後から絶対なんかあるで。鍋頼もか。」
もう二月。卒論は進んでいなかった。


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