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つまみぐい
【その他 官能小説】

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怪盗少女に気をつけろ-2


「麗しきプリマヴェーラ、僕から盗んだものを今すぐ返したまえ。さもないと恥ずかしい罰を受けてもらうことになるよ」
「人聞きの悪いことを言わないで。盗んだんじゃなくて、ちょっと借りてるだけ」
「ちっちっ、言い訳をするなんてナンセンスだね。君には失望させられたよ」
 漆黒の翼を持つ黒い天使は、右手の人差し指を立ててそれを左右に振った。そして涼しい顔で念じた途端に指先から黄緑色のスライムゼリーを出現させたのである。
「こいつには即効性のある媚薬が仕込んである。その意味が君にはわかるかい?」
 そう言って黒い天使が指を弾くと、細胞分裂を繰り返すスライムゼリーが尾を引きながらプリマヴェーラ目掛けて飛んでいく。言うまでもなく並の人間ならよけられないスピードだ。
 でも伸び盛りのプリマヴェーラには造作もないことだった。体を半回転させてスライムゼリーの攻撃をやり過ごすと、ふたたび黒い天使に向き直って無傷であることを主張する。
 二人はお互いにライバル同士なので、おおよその手の内も知っているし、好きな食べ物が何であるかまで調査済みなのだ。ちなみにプリマヴェーラの好物はコンビニに売っているシュークリームで、黒い天使のほうは母親の作った大きめ野菜のカレーライスという具合である。
「その程度の攻撃があたしに通用するとでも思ってんの?」
 そろそろ性に目覚めるお年頃のプリマヴェーラが言った、その時だった。テントの下のほうがやけに騒がしいのでそちらに視線を向けると、発情した様子の若い女の子が人目もはばからずに一人エッチをしていたのである。どうやら先ほどのスライムゼリーが彼女に命中して媚薬を吸収してしまったらしい。
「可哀想に、君がよけたことによって彼女が身代わりになったのだよ」
「そ、そんなっ」
「次の犠牲者は誰だろうね」
 自分に甘くて他人に厳しい黒い天使は、神経質そうな両手を空にかざして巨大なスライムゼリーを生成する。そうしていくつかの子スライムゼリーに分裂させると、絶体絶命のプリマヴェーラに向かって理不尽な一斉攻撃を仕掛けた。
 あたしがみんなの盾にならなきゃ──致し方なく覚悟を決めたプリマヴェーラは衝撃に備えて内股気味に両足を踏ん張り、向かって来るたくさんのスライムゼリーを一つ残らず全身で受け止めるのだった。
「んくっ!」
 黒い天使の攻撃をまともに食らったプリマヴェーラの衣装が衝撃波によって激しく踊っている。スカートからのぞく太ももが露わになり、セーラー服の下の控え目な胸のふくらみも三割増しで美味しそうに揺さぶられる。
「きゃっ!」
 空中に吹き飛ばされたプリマヴェーラの小さな体が地面に真っ逆さま──でも大丈夫。スライムゼリーがクッションの役割を果たしてくれたおかげで軽い脳震盪だけで済んだようだ。
 そんなふうに一命を取り留めたプリマヴェーラだったが、スライムゼリーに含まれる強力な媚薬成分が徐々に効いてきたのか、胸の尖端や下腹部の辺りに疼くような微熱を感じて思わず口元をゆるめるのである。
「あ……はあ……」
 こんな経験は生まれて初めてだった。親に内緒で読んだことのあるいかがわしい少女漫画に描写されていたことが、こうして現実に起こっている。自分の体を自分でもてあそびたい衝動に駆られて葛藤している。
「気分はどうだい、可愛いお嬢さん?」
 地面にへたり込んでいるプリマヴェーラにゆっくりと歩み寄る黒い天使。僕(しもべ)のスライムゼリーたちはとりあえず退避だ。
「あたしに何をするつもりなの?」
「さあ、どうしたものかな。こんな美少女を思い通りにできる機会なんて滅多にないからね」
「お願い、エッチなことだけはしないで」
「今の台詞は聞かなかったことにするよ」
「意地悪」
 熱に浮かされた表情で哀願するプリマヴェーラに触発され、ロリータ趣味の黒い天使がマニュアル通りに拷問の準備を開始する。
 まずは獲物の自由を封じるために金縛りの術をかけておく。なるべく大勢の目に触れさせたいので十字架に磔(はりつけ)にすることも忘れない。そうした上で、ありとあらゆる凌辱行為を施しながらその様子をネット配信するのだ。
 すでに大量の媚薬を摂取しているプリマヴェーラを操るのは、カレーうどんの汁を一滴もシャツに飛ばさずに食べきるのよりも簡単だった。
「安心したまえ。僕のいたずらによって君が妊娠することはないし、市民たちの記憶も後で書き換えておく」
「いたずら? 妊娠?」
 プリマヴェーラはその言葉の意味を健気に噛み締めながら、性欲の蕾から淫らな花を咲かせていくのだった。


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