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つまみぐい
【その他 官能小説】

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のぞかれた家政婦-6


「利文さん……、だめ……」
 妄想の中のかほりは既婚者の仮面を剥がされたただの女だった。さんざん犯されて、妊娠をおそれながらも利文とのセックスに明け暮れる。もう普通の生活には二度と戻れない。
「いく、いく、いく……」
 子宮の底から声をあげ、大きく伸び上がって絶頂を迎えたかほりは昼過ぎ頃まで利文の部屋から出なかった。
 ひとしきり自慰行為をして母屋に戻ると午後の二時を過ぎていた。洗面所で化粧を直し、少し遅い昼食を食べ終えた頃に利文が帰って来た。良いアイデアが浮かんだのか、彼の表情は明るかった。
「おかえりなさいませ」
「ただいま。愛原さんのおかげでおもしろい本が書けそうです」
「ほんとうですか? 良かったあ」
「僕、気付いたんです。素敵な出会いは意外と身近にあったんだなって」
「えっ、私?」
 突然のことでかほりはどんな気持ちでいれば良いのかわからなかった。下火になっていた体の火照りが振り返し、卒業アルバムをめくるように甘酸っぱい感情がよみがえってくる。
「まさか愛原さんがあんなことをするなんて、僕は自分の目を疑いました」
 と、利文が言うのでかほりは首をかしげた。もしかして……。
「いや、こっちの話です。気にしないでください。でも僕が小説を書くためには愛原さんのような存在が必要なんです」
「見てたんですか?」
 かほりは利文のことを上目遣いに見た。さしずめ美しい娘に姿を変えた鶴の気分だ。
「見てましたよね?」
「ごめん。愛原さんがあんまり綺麗だったから見惚れてしまって」
「じゃあ、撮影は?」
「とんでもない。僕はそんな卑怯なことはしません」
「そうですか……」
 かほりは開き直って顔を上げた。やっぱり見られていたのだ。恥ずかしい姿をのぞき見された以上、もうここに居るわけにはいかない。
 わかっている。彼は少しも悪くない。悪いのは自分なのだ。
「何のお役にも立てず、申し訳ありませんでした。お母様によろしくお伝えください。では」
 荷物をまとめて天馬邸を後にするかほりの背中に、利文は何の言葉も掛けてこなかった。信用を失ったのだから仕方がない。いただいた料金もすべて返したほうが良いだろう。
 車に乗り込み、エンジンをかけてヘッドライトが照らす暗闇をぼんやりと眺めていた。車内は冷えているが、不思議と心と体は温かかった。
 するとそこへ思い詰めた様子の利文がやって来て、運転席側の窓を二度ノックする。かほりはウィンドウを下ろして彼のほうを見上げた。
「愛原さん、最後に一つだけ聞かせてください」
「何ですか?」
「僕の官能小説を読んでみて何か感じるものはありましたか? 今後の参考にしたいので正直に答えてください」
 今さら口に出すのも躊躇われるけれど、かほりは女の殻を脱ぎ捨てて彼に賛辞を述べた。
「利文さんの官能小説を読んで、私は濡れました。だからあんなことをしてしまったのです。私は利文さんの部屋でオナニーしました」
 告白した瞬間、膣が潤むのがわかった。人妻になってから今までセックスで満足したことなどなかったのに、今日のオナニーでは全身がわなないて潮を吹いた。しかも男性の部屋で。
「これくらいで許してください。着替えがないので濡らしたくないんです」
「わかりました。僕の作品をそこまで愛してくれていたなんて、愛原さん、やっぱりこのまま帰すわけにはいきません。僕の新作が完成するまで、今夜はあなたのことを隅々まで観察させてもらいます」
 そう言ってドアを開けるなり利文はかほりの手を引いて部屋に直行し、あの時の続きをするよう指示してペンを取った。
 そんな彼の一方的な要求を飲むか否か、それはかほりの淑女としての器量に委ねられている。決断を迫られ、コートのボタンに指をかけて唾を飲み込んだ。
「裸になれば良いんですか?」
 かほりが言うと、利文は少しも動揺せずにゆっくり顎を引いた。これは家事代行サービスの範囲を逸脱した行為であり、言うなれば性的サービスだ。
 それを承知の上で下着姿になったかほりは、夫にも見せたことのない甘えた仕草でブラジャーとショーツを脱ぎ始め、祈る思いで腰を下ろすと大胆に開帳して醜い部分を露出した。
 見つめられると濡れてくる。すべてを見透かされているようで膣が震える。子宮が下りてくる。妊娠してしまう。
 男性シンボルが欲しい──官能小説として描写されることへの悦びに目覚めたかほりは、思い切り音を立てて女性自身をかき回し、なかなか押し倒してくれない利文に苛立ちをおぼえつつ指遊びに興じるのだった。


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