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恋のばんそうこう
【女性向け 官能小説】

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成田先輩と初めて話すことよりも
白木のベルトループに指をひっかけて熱い鉄板のそばにいる事を選んだその時から
私の胸はザワザワしている。

白木が乃恵を『乃恵ちゃん』と呼ぶたびに
胸が痛んできゅっとなる。

可哀そうな私の胸。

全く!白木には慰謝料をもらいたいぐらい!

こんな茶番劇に始めから賛成するんじゃなかった。

そうしたら、私は今でも成田先輩に失恋した悲劇のヒロインでいられたのに。

大っぴらに凹んでいられたのに。

白木でモヤモヤしている私は誰にも言えない。
絵里にも、柳下にも斎藤にも・・・
みんな私たちをラブラブだと思ってるから
誰にも相談できなくて辛いじゃん・・・

もう!白木のアホナス!

たまに、背もたれから私の身体にかかる白木の指を無視して
私は食べる事に集中することにする。

他のゼミの飲み会に参加したって
話の内容が分かるわけでもなく
研究題材を熱く語られたって、私が話しにはいれる訳もない。

だから、イヤだったんだよ・・・

私の左隣を見ると、2年の時のドイツ語で一緒だった上杉君がいて。

「あれ?上杉君、このゼミなんだ?」
「気づくのおそっ」
可笑しそうに笑った上杉君は、雰囲気が成田先輩に似ていた。

「俺、松井が来た時からココに座ってますけど」
そう言って優しく笑って
「松井、食べるのに必死だったもんな」
楽しそうに笑って私が食べていないサラダを取り分けてくれた。

何この『嘘のない』優しさ・・・

白木にも分けてほしい・・・


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