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dream・road
【青春 恋愛小説】

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dream・road〜scene-3rd-12

試合も大分進み、残すはセミファイナルとメインの試合を残すのみとなった。

セミファイナルの選手が呼ばれ、控室には龍矢とミゲルとセコンドたちだけとなった。

「調子はどうだ、ボーイ」
「聞くまでもないだろ?最高さ」

体を暖めるためのアップを終えると、ミゲルは龍矢の目を見据え話始めた。

「たった二年弱でここまで登りつめた男を俺は初めて見た」
「……」

龍矢はミゲルの言葉を体に染み込ませていった。

「相手は悪魔だ。だがな、お前の拳には様々な想いが宿っている。ボーイ、俺は断言する。お前は勝てるさ」
「んなことは言われなくても分かってるよ」

龍矢の照れ隠しの悪態に場の雰囲気が和む。その時、観客たちの悲鳴ともとれる歓声が聞こえてきた。

「予定よりも早くケリが着いたみたいだな」
「ミゲル」
「なんだ…」
「感謝してる。あんたがいなかったら、俺はここまでは来れなかった。ありがとう」

ミゲルは龍矢の言葉に顔を緩めた。それは、龍矢が初めて見た、優しさに溢れた表情だった。
だが、すぐに顔を引き締めなおした。まだ、龍矢の夢は終わっちゃあいない。この闘いで全てが決まるのだ。

「準備、お願いします」

係の者が龍矢達を呼ぶ。皆が緊張を昂ぶらせる中、ミゲルは龍矢達に最後の激を飛ばした。

「いいか、今この時、この場所ではタツヤ、お前が主役だ。」
「あぁ!」
「この勝負に引き分けはねぇ!White or black!!(白か黒か)OK!?」

「「Year!!」」

皆が声を合わせて言葉を返す。

「行くぞ、タツヤ!ショータイムだ!」
「っしゃあ!!」

そして、龍矢達は戦場へと向かっていった。




試合会場二階席、一番前の所に二人の男女が座っていた。

一人は、見る者の目を奪わずにはいられない顔立ちの女。背まであるブロンドの髪は、女の優雅さを更に引き立てていた。

もう一人は、金髪の男。ショートカットの金髪が、男の顔と見事にマッチしている。
顎には、手術をした跡がしっかりと残っていた。

突如、大歓声が上がる。選手が入場したのだ。

「カイ……タツヤ、勝てるわよね?」
「分からない。だが、タツヤが俺を越えていれば……」

カイとレイラが話していると、龍矢が丁度リングインしたところだった。

黒髪に黒のグローブ、銀のラインが入った黒のトランクスに、黒のシューズ。まさに黒ずくめの龍矢に対し、ダミアンは赤を基調としたデザインで整えられている。

黒い肌に赤のコントラスト、さらに体から発せられる並々ならぬ闘気が、悪魔と呼ばれるに不相(ふさわ)しい外見を産み出していた。

両者がレフェリー(審判)に従い中央に歩み寄る。

「勝てよ……タツヤ……」

カイは隣のレイラにも聞こえないほどの小さな声で龍矢の勝利を祈った。


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