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京子
【青春 恋愛小説】

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京子-4

 京子の家は電車の駅で2つ離れた所にあったが、陽介は自転車で行った。自転車が好きなのである。スポーツタイプでは無いが一応サイクリング用の軽自転車を持っている。あまり夢や欲望の無い陽介だが、18段変速のマウンテン・バイクが欲しいというのが子供の頃からの夢である。
 京子の家には女の子と男が2人ずつ既に来ていた。他にも誰か来ているとは思わなかった陽介は一瞬帰りたくなったが入ると同時に佳枝にがっちり腕を捕まれてしまった。佳枝は迎え入れるつもりで優しく掴んだのだろうが、こいつは明日女子プロレスに入っても突然チャンピオンになってしまいそうな大女なのである。背も高いし横幅も広い。腕なんか丸太のようで振り払ったって振り解けるもんじゃない。どういう訳かこれが京子と仲良しでガード役みたいにいつも2人はくっついている。もう1人の女の子と男2人は見たことが無かった。女の子はとても可愛らしくて陽介には木村京子なんかより遙かに美人に見えた。女の子は薫という名前で、男2人は京子の中学時代の友達だという紹介を受けたが憶える気も無くて名前は覚えていない。1人はいかにも秀才そうに見えたし、もう1人はちょっと抜けた感じに見えたが、後で聞くとこの抜けた感じに見えた奴の方こそ学力テストで東京都1番の成績を取った奴なんだという。まあ、1番が偉いのなら俺だって後ろから数えれば1番かも知れないとは思ったが、そんなの自慢にならないことくらい陽介だって知っている。男3人女3人なので組み合わせを替えて男女ペアの遊びをいろいろやったが、薫と組んでやったジェスチャー・ゲームは面白かった。問題が沢山書いてある紙を見ながらペアになった男女の一方がジェスチャーをして他方がそれを当て、3分間に何問正解出来るかを競うというゲームである。問題は沢山用意されていてなかなか答えられないものはパス出来る。とにかく時間内に沢山答えることを競うゲームなのである。しかしパスは3回までしか許されない。陽介は『ブラジャー』という問題でつかえてしまったが、薫は既に3回パスしているので必死になって何とか陽介に答えさせようとしている。痩せて見える薫だが、意外に豊かな胸を両手で支えるようにすると、陽介は『おっぱい』と答えた。薫は、『惜しい』という顔をして正解が近いことを伝えた。それから後ろを向いてブラジャーを付ける格好をして見せた。しかし陽介は勿論ブラジャーを付けたことなどないから思いつかなかった。
 「背中が痒い」
 薫は『駄目、駄目、全然違う』という顔をして再び前を向き、胸を両手で支えた。もう夢中になっている為に両手で絞り出すようにしているから、乳房が服地越しとは言え大きく突き出している。おっぱいに目のない陽介は引き込まれるように見つめていた。
 「巨乳」
 「デカパイ」
 「ちぶさ」
 「おっぱい」
 「ぱいぱい」
 薫はブラジャーの肩紐をゼスチャーで示した。
 「胸がデカイから肩が凝る」
 「胸が凝る?」
 薫は胸を両手でつかんで持ち上げる仕草をした。
 「だからそれはおっぱいじゃないの?」
 「あっ、分かった。村井さんのおっぱい」
 「村井さんの乳房」
 「何だろう?」
 「村井さんはデカパイである?」
 「えーと、何だろう?」
 「ハイ、終わり。時間です」
 「陽介、ブラジャーだよ」
 「あっ、そーか」
 「ブラジャー付ける動作したのに何で分かんないの?」
 「ブラジャーなんかしたことないもん」
 「そんなの当たり前だけど、ブラジャー付ける仕草くらいは分かるでしょうに」
 「分からないよ。見たこともない」
 「テレビや映画で見たことくらいあるでしょう」
 「ブラジャー付けるとこ? さあー、見たこと無いな」
 「ブラジャーの中身ばっかり見てるから気が付かないんだよ」
 「えっ?」
 「大体高校生にもなっておっぱいだのぱいぱいだの、そんなこと言うんじゃないの」
 「だってそれが答えだと思ったから」
 「陽介ペアが最低の3問だから罰ゲームね。罰ゲームは腕立て伏せ10回です」
 「何だ。そんなの軽いな」
 「薫を乗せてやるんだよ」
 「え?」

 という訳で陽介の背中に薫が跨って乗り、陽介は腕立て伏せを10回やることになった。初めの5回位は楽々だったが、6回目から苦しくなって最後の2回は体中がぶるぶると震えて、終わったときには薫を乗せたまま床に突っ伏してしまった。その勢いで背中に乗っていた薫はキャーと言って陽介の体に倒れ込んだ。ただそれだけのことだが、薫が座った時から薫の股間の柔らかな感触が陽介の背中に感じられたし、倒れ込んで来た時には一瞬だが確かに薫の胸の膨らみを背中に感じることが出来た。俯せになっていたし、最後は全身に力が入って顔は真っ赤になっていたから分からなかっただろうが、陽介は薫が乗ってきた時から思わず顔を赤らめていたのである。女の体ってなんて柔らかいんだろうと思った。結局罰ゲームと言っても陽介だけが罰を受けたようなもんだが、そのことに考え及ぶ程の余裕は陽介には無かった。2時間以上京子の家でわいわい騒いで過ごしたが、薫を乗せた時の感触だけが残っていてあとは綺麗に忘れてしまった。


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