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京子
【青春 恋愛小説】

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京子-12

 陽介が食事を終わると既に1時で、京子と姉さんも流石に腹がすいたらしい。食べ終わった陽介と同じパンとサラダの食事をしている。

 「今日は妹さんはどうしたんですか?」
 「母さんと京都に行ってる」
 「親戚か何かですか」
 「違うの。修学旅行の時に盲腸で入院していて行けなかったので、母さんが治ったら連れていくと約束していたの」
 「ああ、1人だけの修学旅行ですか」
 「そうね」
 「あのさあ、どういう風に鍛えれば車とぶつかっても怪我しないようになれるんだろ?」
 「何の話?」
 「私の友達が車にぶつかって怪我しなかったんです」
 「あ、何とか言う子ね、電話で言ってた」
 「うん、室井って奴」
 「余程体を鍛えてるんでしょ」
 「別に鍛えてはいないんじゃないかな。唯異常にデカイけど」
 「当たり所がたまたま良かったんです」
 「何処?」
 「後ろから当たられてお尻に当たったのよ」
 「あいつのケツだったら車の上の方に当たったということになるのかな」
 「私とふざけてて私がどついたら佳枝がよろけた振りして腰突きだしてふらふらって下がって行ったのよ。そしたらそこにぶつかって来たの」
 「へえ、それで車の何処に当たったの?」
 「急ハンドル切ってよけようとしたらクルッと回転しちゃって後ろのドアの辺りがドンって佳枝のお尻にぶつかったの」
 「それで車はどうかなったの?」
 「だからドアが少し凹んだ」
 「あー、思い出した。陽介が女子プロレスって言ってた子か」
 「そうそう」
 「本当に女子プロレスに負けないくらい大きいんです」
 「2回目は?」
 「2回目なんて知らない」
 「車がぐちゃぐちゃにつぶれたらしいぞ」
 「嘘よ。噂でしょ。そんなことあれば私が佳枝から聞いてるもの」
 「そうか? あいつが又車にぶつかって今度は車が大破したって噂だったから」
 「誰がそんなこと言ってたの?」
 「誰がってみんなが」
 「みんなって誰?」
 「さあー、だからみんな」
 「あんまり佳枝を虐めちゃ駄目よ」
 「どうやったらあいつを虐められるんだよ。あの化け物を」
 「体は大きくても優しい心の持ち主なんだから」
 「何処が優しいんだよ。前に男を3人くらいまとめて袋叩きにしてたことがあるじゃないか。3人で1人を袋叩きにするっていうんなら分かるけど、1人で3人を袋叩きにしちゃうんだからな。しかも女が男を」
 「あれはね、3人で私のこと虐めてたから佳枝が怒ってちょっとたしなめてくれたのよ」
 「たしなめる? ああいうのもたしなめるって言うのか?」
 「まあ丁寧に表現すると」
 「凄い子なんだね」
 「凄いなんてもんじゃない」
 「さて、誰か持ってきて無い子がいると悪いから先に渡しとくね」
 「何これ?」
 「誕生日のプレゼント」
 「誕生日のプレゼント?」
 「開けてごらん」
 「ウォオオオオー」
 「気に入った?」
 「気に入った、気に入った。前から欲しくて夢に見てたんだ。これ高かっただろ」
 「大したこと無いよ」
 「でも俺の欲しい物良く分かったな」
 「そんなの分かってるよ。いつも自転車屋でウィンドウにおでこくっつけて見てたじゃない」
 「そうか。これがあると何処でも行けるんだ」
 「それ何?」
 「空気入れだよ」
 「そんな小さいの?」
 「小さくても大丈夫なんだ。これを自転車に付けておけば何処でパンクしても大丈夫なんだ」
 「パンクも直せるの?」
 「パンクを直すのは又別。そんなのはゴムとゴム糊があればいいんだ。でもパンク直した後又空気入れないといけないだろ」
 「そうか」
 「俺誕生日のプレゼントなんて生まれて初めて」
 「喜んでばかりいないでお礼を言いなさい」
 「あ、そうだ。木村さん有り難う」
 「あら、木村さんになっちゃったのね」
 「うん。俺って木村のこと大好きだよ。今分かった」
 「あら、随分現金なこと」
 「ちょっと自転車に付けてくる」
 「本当に子供なんだから」
 「お姉さんは随分感じが違いますね?」
 「陽介と?」
 「いえ、雑誌で見るのと」


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