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聖夜の秘めごと
【同性愛♀ 官能小説】

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聖夜の秘めごと-6

 電話の声は取り乱していて、明らかに様子がおかしかった。
 とても正面からまともに訪ねていけるような時間ではない。
 それに、誰かに見つかってはいけないような気がした。
 親たちに知られれば、兄弟の耳に入る。
 そうしたらまた沙耶が酷いことをされる。
 可哀そうな沙耶。
 守ってあげられるのはわたしだけ。
 沙耶の自宅についた晶は高い門をよじのぼり、真っ暗な庭を抜けて一階の端にある沙耶の部屋の窓ガラスを叩いた。
 返事がない。
 窓は開いていた。
 晶は音をたてないように気を付けて窓の開口部から体を滑り込ませ、薄暗い室内に入り込んだ。
 学習机の蛍光灯だけがつけっぱなしになっている。
 開いたままの参考書とノート、その上に破れた制服のブラウスとちぎれたリボンが置かれているのが目に入った。
 倒れた椅子の脚には肌色のストッキングと白い下着が引っかかっている。
 沙耶、と小声で呼んだ。
 晶ちゃん、と震えた声が返ってきた。
 振り向くと、ベッドの端に全裸の沙耶が横たわっていた。
 声は泣いているのに顔は微笑んでいる。
 唇は切れて血が滲み、体は青痣だらけだった。
 わずかに開かれた両脚の間には、白い液体が大量にこびりついている。
 何があったのかはすぐにわかった。
『ここがね、痛いの。熱くて、痛い』
 力のない手で、沙耶は自身の股間を撫でている。
 猛烈な怒りと悲しみで、晶はしばらく動けずにいた。
 いつかこうなると頭のどこかでわかっていた。
それなのに助けてあげられなかったことが悔しかった。
 とにかく、何かを着せてあげなくちゃ。
 晶がコートを脱いで沙耶にかけてやろうとして近づくと、沙耶は晶の手を握って自分の方へと引き寄せた。
 はあ、はあ、と乱れた息遣い。
 熱いの、撫でて。
 いい子にするから。
 もう痛いのは嫌。
 母親に甘えるようにしがみついてくる沙耶を抱き締め、晶はぐちゃぐちゃに乱れていた沙耶の髪を指で梳いてやった。
 彼女の体は火傷しそうなほど熱かった。
 涙がこぼれた。
 沙耶は泣いていない。
 笑っている。
 笑い声に、ときおり喘ぐような声が混じる。
 沙耶は爪を立てて引っ掻くようにして乳首をいじり、赤く腫れた陰部に指を差し入れていた。
 自慰をしているのだとわかった。
 晶は感覚が麻痺してしまったように、何も感じなかった。
 やがて、沙耶は晶の手を求めた。
 晶の指に自分の硬くなった乳首を触れさせ、もう片方の手を濡れた秘部に導いた。
 求められるまま、晶は沙耶の望むように指を動かした。
 小さな突起をつまみ、指先で転がし、しっとりと湿った秘裂の内側を優しく擦った。
 淫らな声をあげ、腰を揺らしながら、沙耶は『こういうことをされるのは初めてじゃない』という意味のことを口走った。
 もうずっと前から。
 毎晩、寝る前に粒状の錠剤を飲まされる。
 すると体が熱くなってきて、兄弟に触られるのが嫌だと思わなくなる。
 男のアレが入ってきても、気持ちわるいと感じなくなる。
 その瞬間は頭がおかしくなるほど気持ちいい。
 けれど、満たされたふたりが部屋を出て行った後は、恐ろしいほどの吐き気と罪悪感に襲われる。
 今夜は特にそれが酷かった。
 ひとりでは耐えられそうになかった。
迷惑をかけるつもりはなかったけれど、電話をしてしまった。
 いまも、どうして自分がこんなことをしているのかわからない。
 だけど、気持ちいい。
 やめられない、やめてほしくない……。
 胸を掻き毟られるような沙耶の独白。
 晶はひとりでそれを受けとめた。
 その夜は沙耶が寝入ってしまうまで彼女を腕に抱き、ぎこちない愛撫を続けるしかなかった。
 それからしばらくして兄弟は海外で起業することになり、沙耶の家から出て行った。
 兄弟から解放された後も、沙耶はたびたび晶を部屋に呼び入れては愛撫をせがむようになった。
 晶は拒まなかった。
沙耶を相手に舌を絡めたキスをし、彼女が気持ちよくなれる場所を探して刺激した。
 そうすれば沙耶が安心したように微笑むからだ。
 特に強いストレスを感じた日、沙耶は自分の背中や尻を叩いてほしいとせがむ。
 強く叩きながら、いやらしいことをしてほしい。
 虐めてほしい。
 晶は沙耶の言う通りに、彼女の尻を何度も平手で打ち据え、他人には聞かせられないような言葉で沙耶をなじった。
 すると沙耶は普通のやり方よりもずっと早く絶頂に達し、そんな沙耶の姿を見るにつけ晶自身も歪んだ性の悦びを感じるようになった。
 秘密の行為は日常化し、暇さえあれば沙耶は晶を自室に呼ぶ。
そして晶に兄弟たちの代わりを演じさせ、狂った快感に溺れていく。
お互いの家族は、間違いなく娘たちの関係に気付いている。
でも、何も言わない。
 黙っていれば、誰も知らないことにしておけば、平穏な生活が壊れることはない。
 そう信じているかのように。


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