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『JUSTICE』
【青春 恋愛小説】

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『JUSTICE』-5

「それは…百合子ちゃんに聞いて…。」
「…百合のやつ…。」
だからあわててフォローを入れた。
「あぁでも勘違いすんな!俺が百合子ちゃんに聞いたからでさ。…ごめん、おせっかいだったよな?」
「べ、別にそれはいいんだけど…。それで…あのさ、さっきの…あいつにいったこと、あれは…冗談でしょ?」
西崎はうつむいたままでいる。
「…本当だ。」
俺は静かに答えた。
「…ウソ…。」
「…ウソじゃないって。俺は…」
だが俺の言葉は途中で遮られた。
「やめてよッ!そんなこと言われたら期待しちゃうじゃない!」
そう苦しそうに叫んだ後で西崎はハッとした顔をする。
「期待…してもいいんだぜ?」
西崎の首が横に振られる。
「…まだ、俺のこと信用できない?」
まだ信じてもらえてないんじゃ?という思いに、俺の胸はしめつけられたように痛む。だが、西崎はさらに激しく首を横に振りながら叫んだ。
「そんなことないッ!信用してるよ!でも…また…またあんなふうに嫌われるのが…恐いのよ…ッ!どうしたらいいのか…わかんないんだよ…!」
…西崎は泣いていた。
「バカだな。今から嫌われたときのことなんか考えてんのか?…今すぐなんでもかんでも信じろなんて言わない。そんなの無理だもんな。でも…少なくともさっきの野郎みたいな真似は絶対しない。俺は西崎のこと、本気だから。これは信じてほしい。」
泣いている西崎の頭をそっと抱きしめてやる。
「綾女って呼んでも…いいか?」
西崎…いや、綾女の頭が縦に動く。顔をうずめたまま綾女が呟いた。
「あたし、もう一回信じても…いいのかな…?」
「もちろん。俺の名前をなんだと思ってるんだ?」
「?」
綾女が目に涙をためたまま、不思議そうに顔をあげた。だから答えを教えてやる。
「正義と書いて『まさよし』、漢字の読み方変えたら『せいぎ』だろ?だから絶対裏切ったりしねぇよ。」
それを聞いていた綾女は吹き出して言った。
「クスッ、何それ?くさいセリフ〜。」
「あ!コラ、笑うな!言ってる俺が一番はずかしいんだよッ!」
照れ隠しのつもりでふてくされて横を向く。そんな俺に、こう綾女はささやいた。


「…ありがと。私…信じてみる、正義のこと。」


  〜終〜


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