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『JUSTICE』
【青春 恋愛小説】

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『正義の裏切り?』-2

■綾女's View■

今日はあたしの誕生日だ。人生最悪の誕生日。今年は正義と…なんて考えてた自分がおかしくて笑ってしまう。そんなとき百合ちゃんから電話があった。
『今から会いたいんだけど、大丈夫?』
「…うん、大丈夫。」
『それじゃ、公園で待ってるから。』
電話が切れた。あたしは出かける準備をはじめた。


しばらくして公園に着いたが、百合ちゃんの姿はまだない。あたしはベンチに腰かけて百合ちゃんを待つ。すると突然後ろから誰かに抱きしめられた。
「…4日ぶりだな。」
…その声にあたしは体を固くする。気持ちの整理、ついていたはずなのに、声を聞いた途端に胸が苦しくなる。
「離してッ!」
あたしがそう叫んで暴れようとすると、さらに強く抱きしめられた。
「誰が離すか。せっかく会えたのに。」
「だいたい何であんたがここにいるのよ!」
あたしの声が震えているのがわかる。
「何でって、こうでもしないと会ってくれないだろうが。」
「今さら会いに来て…何なのよッ!香織がいいなら香織のとこに行けばいいじゃない!あたしのことはほっといてよ!」
あたしはたまっていた気持ちを全てはきだした。同時にこらえていた涙があふれだす。でも正義はあたしの言葉には答えない。
「…手、出してみ。」
正義は片手であたしを捕まえたまま、ポケットから何かを取り出した。それはプレゼント用に綺麗にラッピングされた袋。
「…誕生日おめでとう。」
そう言ってあたしにその袋を渡す。あたしはぼんやりとしたままそれを受けとった。
「この間の日曜日に、香織ちゃんにお前の好みとかいろいろ聞いて選んだんだ。開けてみ?」
袋を開けてみると、中には小さな星を型どったペンダントが入っていた。
「こ、これ…。」
「どうだ?気に入ったか?」
正義は得意そうに笑いながら、あたしの顔を覗きこんでいった。
「これ選ぶために、香織といっしょに…?」
ようやく状況が理解できてきた私は正義にそう聞く。
「そうだよ。」
「なんでそれを言ってくれなかったの?」
あたしの質問に、正義は当たり前のように答えた。
「言うチャンスをくれなかったのは綾女だろうが。それに、それを言ったら誕生日にいきなりプレゼント渡して驚かせる楽しみがなくなっちゃうだろ?」
あたしはその言葉にイラッとする。
「…あんたねぇ、あたしがこの4日間どれだけ苦しんだかわかってるのッ!?やっと信じられた人と友達にいっぺんに裏切られたと思って…ずっと泣いてたんだからねッ!それなのに…そんなのんきなこと言って…。あんまり不安にさせないでよぉ…うぅ、ふぇぇぇん!」
安堵感から、あたしは声をあげて泣き出してしまった。正義は泣いているこどもをあやすように、あたしの頭を抱きしめていった。
「まーったく、思い込みが激しすぎるんだよ綾女は。でも悪かった、俺のせいで不安にさせて。反省してるよ。…けどな、4日間も綾女に嫌われて、会ってもらえなかったのは俺も辛かったんだぜ?だから、おあいこ。な?」
勝手なやつ…。そんなの自分のせいじゃない。でも…
「…いいよ、今回は許してあげる。」
涙声のままあたしは答えた。
「あたしに4日会えないだけで苦しくなるくらい、あたしのこと好きなんでしょ?」
「むっ、図星だ。言い返せない…。」
私の軽口に、正義もおどけて返す。それがおかしくて、ふたりそろって笑いだした。
「プッ、うふふふ、アハハハ!」
でもね、あたしも人のこと言えないの。あたしもこんなに苦しくなるくらい正義が好きだから…。


〜終〜


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