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愛獄戯館
【SM 官能小説】

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愛獄戯館-8

わたしは今、ユミコの餌と言ったが、逆に妻であるユミコをあかの他人の餌にすることもわた
しにとってはひとつ快楽なのだと言いながら、以前、わたしが金で買った坊主刈りの中年男は、
獣のような黒々としたむさくるしい胸毛を茂らせ、でっぷりと肥えた黒褐色の肌をした腹を突
き出した巨漢の醜悪な浮浪者だったが、なぜ、そんな男を買ったのかだと、もちろん、不能の
わたしの目の前で男をユミコの餌として与えるためだ。そうだ、あくまでユミコが男の餌では
なく、男がユミコの餌なのだ。つまり、餌となった男のものでユミコを強姦させるためであり、
これほどの快楽はないとわたしはずっと考え、ユミコにふさわしい男をさがしていたのだ。

それにしてもこの男の持ち物にはわたしも腰を抜かすほど驚いたものだ、こんなものがユミコ
のあそこに入るものかと思うくらいの巨根で、黒い油を塗り込んだようにぬらぬらとした光沢
を放ち、亀頭の深くえぐれたえらのあいだには真珠が埋め込まれていたが、何よりもこの男は
しばらく刑務所に入っていたらしく、久しく女を抱いていないといい、ユミコの裸の写真を
見せたとたん、獣のような肉棒の先端に涎を垂らしたものだが、ベッドに縛りつけられた妻が
その男に嬲られ、犯される顔は苦痛という悦びをあらわにするごとく嗚咽とともに彼女の唇か
らあふれ出る涎で白い首筋を濡らす姿は、わたしにとっても極上の快楽そのものだと思ったも
のだが…と言い、老翁は窪んだ眼の中に淫靡な澱みを濁らせたのだった。


………



老翁が「愛獄戯館」へいつものように足を踏み入れると、待ち構えたように、お連れ様はすで
にいつものお部屋でお待ちでございますよと館の老婆はヒッヒッと笑いを隠したようにつぶや
き、三階の奥にある特別の部屋へとつながる狭い階段を、細い足を引きずるようにのぼってい
く。

老翁が命じたとおりにユミコがあの珈琲屋の若造をここに誘ったことは間違いなく、彼とユミ
コの性交が脳裏の奥底でめまぐるしく蠢いてくるのだが、いつぞやは夢の中で彼の裸を見た
瞬間、老翁自身の肉体がこなごなに砕かれたような気がした、というのはあの若造の若々しい
均整のとれた裸体が朧な光によって斑に染められ、巧緻な筋肉が瑞々しく煌めき、どちらかと
いうと細まった滑らかな胴体は柔和で物憂い影を秘め、そうでありながらも端麗な優雅を湛え、
老翁を息苦しくさせるくらい妖艶とも言える肉体の官能の美しさをもっており、彼の下半身に
ある、蒼く、麗しい翳りを含んだ彫の深い、猛々しい性器がなぜか老翁にとっては純潔なもの
を感じさせ、それは、老翁がもうけっして得ることのできない眩しい肉体と呼べるものであり、
まるであの若造の肉体に呪縛されるように夢にうなされながらも、逆に彼の若い肉体に辱めら
れる、いわば自尊心の腐敗に自分が疼き続けていることをふと考えるのだった。


老翁の足音に気がついたのか、いつもと変わらない表情をした妻のユミコは全裸で床に正座を
して三つ指をついて彼を待っていた。板敷の部屋の中ほどには、剥き出しの天井の梁から滑車
のついた鎖が垂れ下がり、拷問台のような木台の四隅の支柱には黒い革枷が付けられていた。
お入用の鞭や縄、蝋燭の類はいつものように納戸のなかにございますので、ご自由にお使いく
ださいませと言いながら老婆はこけた頬をゆるませ、ふたりの容姿に交互に視線を這わせると、
淫靡に咽喉を鳴らし部屋を出て行った。


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