投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

愛獄戯館
【SM 官能小説】

愛獄戯館の最初へ 愛獄戯館 0 愛獄戯館 2 愛獄戯館の最後へ

愛獄戯館-1

 あのころ、街はまだ蒼く、男たちの酷薄な欲望は、毒々しい蛾の鱗粉にまぶされた女たちの
麗しい囀りに翻弄され、変幻し、闇に葬られていた…。


女の淫唇のぬかるみに忍び込もうとしている男のものが、朧に霞んだ虚空の中で棘の蔓でくく
られ、絞められ、泡を吹く。細い蔓がとぐろを巻いて喰い絞めている生白い男の肉棒が喘ぎ、
打ち震え、女の股をくぐっていくと、男と女が互いにいだく欲情が濃厚に混在し、やがて結晶
となって凝固していくというのに、肉洞に蠢くふたりの愛欲は渦を巻き、天空の果てに血潮と
なってはじけ、蔓で縛かれた男の肉棒が奏でるレクイエムは、女の壺宮の奥をくすぐり、牙を
たてながらも無残に砕かれる。

男の憐れな肉幹の破片が、女の汁に爛れながら溶け、割れ目から滴る。飛沫となって搾りとら
れた精液は、男の欲望の終止符でありながら、快楽のはじまりとなり、欲情の吹きだまりとな
って、女の中に潜む聖霊たちの餌食となる。

淫洞に放たれた男の白濁液の残滓がこねられ、肉襞の中に雲母の曼荼羅が生まれ、光が織りな
す蠱惑を誘い出すと、肉襞に流れる血潮の輝きは失われ、波光は冷たく鎮まりかえり、男が描
いた幻夢の切れ端が水母のようにゆらゆらと蠢き、湿り気のある陰毛の毛先に戯れ、歪んだ子
宮の砂丘に刻まれる血の文字に卵巣がさわぎ、男の幹は溺れるようにそよぐ。

男はすすり泣くような呪文を唱え、その声は冥府の中に木霊を響かせながら堕ちていき、流れ
出る欲情は、男の渇き切った肉芯を無意味な破片に裂いていく。男の腐乱した肉棒の先端は女
の陰部のぬかるみに溺れ、息の根を止められようとしているのに、女の心は澱んだ水面に流さ
れる蓮の花のようにあてもなくさまよい、茫漠とした水面を渡って暗い沖へと流れていき、
蒼い光の中で沈黙する肉奥からこぼれた蜜の露が腿の内側をしとしととつたっていく。

積み重ねられていく眠れない夜を迎える男は、路傍で縛かれる、自らの憐れな欲望を拾い上げ、
女に虐げられる恍惚をひたすら歌い続ける。縛かれながら宙吊りにされた男のひょろりと萎え
た肉棒の根元を女は手にした鋏(はさみ)で物憂くはさむ。そして、鋭く砥がれ、鈍色の光沢を
放つ鋏の刃をゆっくりと閉じていき、肉棒の包皮に刃が喰い込んだとき、肉棒の亀頭の穴は
髑髏の窪みとなり、無為の快楽とともに死に晒される…。


愛獄戯館の最初へ 愛獄戯館 0 愛獄戯館 2 愛獄戯館の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前