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愛獄戯館
【SM 官能小説】

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愛獄戯館-3

…長い睫に縁どられた濡れた瞳がせまってくる。口づけを迫ったのはケイジロウなのに、彼以
上に泡立っている彼女の薄く開いた唇にケイジロウは戸惑った。物静かな彼女のいったいどこ
にざわつくような熱っぽい淫蕩さが隠れているのか、そう思ったときケイジロウはすでに押し
つけられたユミコさんのふくよかな胸のふくらみを身体に感じながら心を甘く濡らしていたの
は間違いなかった。

ユミコさんの目の前ではすでに彼は蛇に睨まれようにからだを強ばらせ、彼女に呑み込まれて
いく戸惑いが湧きあがるというのに、逆に彼自身の恋心と情欲が彼女に操られているような
感覚はまるで手足をもぎとられ、彼の心と性を吸い取られるように弄ばれ、身をゆだねていく
淫猥な美しい情感とでも言えるものだった。


 きみが妻のユミコとどんな言葉をこの店で交わしているのかわからないが、妻はたしかにき
みという男を意識しているようだと、老翁は差し出した珈琲カップを唇に運び、細めた瞳を湯
気で曇らせ、わたしは決してきみに嫉妬をしているわけではなく、きみがユミコをどう性的に
思っているのかというところに興味をいだいたのだよと言った。

老翁が突然口にしたセイテキという言葉に、なぜそんなことを言われるのですかとケイジロウ
が言うと、老翁は、年寄りのひがみとでも言うのか、わたしはもう自分のもので妻を満足させ
ることはできない、いわば不能の男になりさがってしまったが、若いきみがどんなふうにユミ
コを性的にとらえようとしているのか、ふと思ったのだと言い、ぎょろりとした窪んだ眼孔を
獰猛に光らせたとき、ケイジロウは冷静さを装いながらも、あえてその言葉を脳裏にめぐらせ
たのだった。

自らが性的に不能だと言いながらも、老翁の瞳には、彼が自分の妻であるユミコさんの性のす
べてを知り尽くしているような、そして、彼女を自らが所有した玩具のようにとらえているよ
うな優越感に充ちた陰湿な光が漂い、ケイジロウの心の奥底にあるものを掌の上で転がすよう
に嘲っているような気がしたのだが、素敵な奥様ですねと平静をよそおったようにさりげなく
言うと、老翁は薄く笑い、あれはうぶで清純な女に見えるがとても淫蕩な情欲の深い女だとさ
らりと老翁は答えたが、情欲という言葉とユミコさんの美しい顔が斑に混ざってくることにケ
イジロウは微かな疼きを抱いたとき、老翁はそれに気がついた様子もなく、珈琲カップに皺枯
れた細く長い指を絡め、卑猥に翳った唇をそえた。


老翁から漂う、噎せるようなオーデコロンの匂いと湯気たつ珈琲の香りが燻り、混ざりあった
ものが老翁の顔を包み込んだとき、ふと我に返ったケイジロウは悪寒に似た苦い疼きがひたひ
たとからだの中に滲み入ってくるのを感じながらも、この老翁が毎夜のようにユミコさんの甘
く熟れきった象牙色の艶やかな肌を、涎で湿った唇と皺枯れた陰湿な指でどんなふうに弄りま
わしているのか、そんなことを考えただけで胸が痛み、締めつけられそうになるのだった。

きっと老翁は口の中にたっぷりと唾を溜め、ユミコさんの唇から艶やかな足指の先までの窪み
と隆起の隅々まで唾液をまぶし、捏ねるように愛撫をほどこし、彼女の細胞を無理やり弛緩さ
せている…ユミコさんの色めく紅色の唇のあいだに自らの唾液を注ぎ込み、彼女の口の中を舌
で掻きまわし、耳朶を噛み、鎖骨の浅い窪みに唇を這わせ、腋窩に舌を押しつけ、乳首を鳥の
ように啄み、ふくよかな乳房に割れた指爪を喰い込ませ、なめらかな腹部の翳りに涎を泡だた
せ、腰のくびれを鼻翼でなぞり、やわらかに映えあがった繊毛の地肌をくすぐり、深々とした
淡い切れ込みのある豊満な双臀を鷲づかみにしながら尻の割れ目をまさぐるように顔を埋め、
すぼまりの匂いを嗅ぎ取り、むっちりとした白い太腿の内側に頬を擦りつけ、膝頭からふくら
はぎに涎の糸を引き、脚の先端の足指のあいだに舌を差し込んでいる…

そう思ったとき、ケイジロウは老翁の愛撫に悶え、嗚咽を洩らすユミコさんの声に瞳孔を無理
やり開かされながら冷たい汗に全身を滲ませ、昏い闇の中でもがき、性器の芯を穿たれたよう
な苦痛に苛む自分を自虐的にさえ感じるのだった。


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