風俗の女-2
女と付き合っても、何も面白みはないと学は思っていた。本当に、体だけあれば充分だと感じていた。三十歳になろうというのに女と付き合ったことがないのを、もはや恥ずかしいとも思わない。確かに、大学の頃までは彼女というものが欲しかった。しかし、就職して人間関係の面倒さに懲りてからは、なるべく一人でいることを学は望んでいるのだった。そして、一人の時間を満喫できるのは、やはり都会に限られていた。本当は、関わりを持たない人混みの中にいながら、そういう人の営みの恩恵は受け、好きなことをしたいだけなのかも知れない。田舎に住みたいとは思わなかった。ただし街中に住むのは高いので、アパートは郊外にせざるを得なかった。
高校までを北海道で過ごし、それから地方の大学を出て、更に上京してきた学にとっては、会える友人さえ少なかった。年を追うごとに、近況の分かる友人は減っていった。友人は大事に思いつつも、滅多に顔を見る機会のない状態の中、連絡するのがどうにも億劫だったからである。
都会の中に消えていく自分の将来を学は予感していた。それは、茫々とした青空に吸い込まれていくイメージでもあった。