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「柔らかな鎖」
【SM 官能小説】

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「柔らかな鎖」-8

飲み会が終わって二次会でカラオケに行って、気がついたら終電を逃していた。同じ方面の何人かずつタクシーを拾って帰ることになったのだけれど、私と由布さんの他に、何故か安野部長が一緒になった。安野部長は由布さんや私が乗っている路線とは別の路線の筈だけれど、なぜだか最後まで残って、同じタクシ−に乗ることになった。で、どういう話の成りゆきからなのか安野さんのアパートに3人で雑魚寝することに。

 私、由布さん、安野部長の順番に横になったのだけど、安野部長が寝静まったころ、由布さんがうとうとしていた私の耳もとで突然小声で
「しようか、響子」
って言い出した。びっくりした私が
「ここでですか?」って聞くと、由布さんは
「セッションじゃないけどね。ほら、早くはじめないと。また罰が欲しいかい?」
って笑ってる。そう、セッションじゃなくっても、私は由布さんの命令には絶対服従なのだ。仕方なく私は
「はい」と返事をした。由布さんが
「向こうを向いて横向きに寝て、パンティをとって、響子」
というので、言われたとおりにしたら、由布さんは後ろから抱き締めてきて、私の胸を優しく愛撫して、それから入ってきた。
……びっくりした。すごく感じる。思わず声が出そうになってあわてて口を押さえると、由布さんが
「そうだね。声は出さないほうがいい。我慢できる?」
と言いながら、再び私の胸を服の上から弄び始めた。
なんだかものすごく感じてしまって、体の奥がかーっと熱くなる感じがした。
 由布さんは、奥まで入ってきた状態で、さらに奥まで押し付けるようにゆっくりゆっくりと動く。私はだんだん体の奥の方から蕩けるというか融けるみたいな感じになって、中で動いている由布さんのものに感覚が集中する。その感覚がだんだん行き場を失ってぎゅーっと凝縮したみたいになったと思ったら、頭の中が真っ白になって、それから急に全部が解放された。
 なんだか自分でもわからないうちに全身がビクビク痙攣していたらしくて、由布さんに
「響子、そんなに良かったの?」
って聞かれるまで、ほとんど意識が飛んでいた。
……これが『イク』ってことなのかな?
「由布さん、私、今……」
って口にしてから、一瞬しまったと思ったけれど、そういえばこれはセッションではないんだった。
「響子、いったのは初めてだった? どんな気分?」
「頭の中が真っ白になって……何も考えられない感じ」
「今は、どういう風に感じてる? 響子」
「多分……、生まれてから一番幸せな気持ち……かな」
由布さんは髪をなでながらくすっと笑ったんだけれど、私は本当にそう感じていた。こんな幸せな気持ちは生まれて初めてだと。
 それから由布さんは、私を胸の中に抱き寄せてくれた。
 なんだか向こう側では安野部長が寝返りをくり返している。多分気付かれたのだろうと思った。でも、そんなことも気にならないくらい、私は由布さんの腕の中で幸せな気分にひたっていた。

 朝目が覚めたときに、安野部長と気まずい感じになるかな、と思ったんだけど、特にそんなこともなく、由布さんと私は安野部長のアパートを出て駅へむかった。
 その途中、由布さんが悪戯っぽい顔をして、
「安野さん、響子に気があるんだと思うよ。だから僕は、響子に手を出させないように見せつけたかったんだ。僕がどのくらい響子を愛してるのかをね」
って話してくれた。由布さんでもそんなことを考えるんだ、と思うと、不思議な感じがした。


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